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米国務長官、対中で珠玉の「置き土産」

米国務長官、対中で珠玉の「置き土産」

 こう言っては失礼かもしれないが、ここまでやるとは予想外だった。「ヒラリー」こと、クリントン米国務長官である。まもなく退任し、米外交の表舞台から身をひく。
 そして退任の直前、尖閣諸島をめぐり、中国から激しく押し込まれる日本に、クリントン長官はとっておきの置き土産を残した。
 「(尖閣諸島は)日本の施政下にあると認識している。その施政権を一方的に害する、いかなる行為にも反対する」
 1月18日、訪米した岸田文雄外相との共同記者会見で、こう言い切ったのだ。何の変哲もない言いぶりに思えるが、実はそうではない。この発言に踏み切るまでには、オバマ政権内でかなりの議論があったのである。
■「ルビコン川」渡った米国
 なぜならこれによって、米国はこれまで以上に旗幟(きし)を鮮明にして、尖閣問題で日本側を支持することになるからだ。ある意味で、「ルビコン川」を渡ったといってもいい。なぜ、そうなるのか。
 米政府は尖閣諸島が日中のどちらに属するかについて、中立を崩していない。そのうえで、米国は日米安全保障条約に基づき、尖閣の防衛義務を負っていると説明してきた。その理屈はこうだ。
(1)尖閣は日本が実効支配し、自分の施政下に置いている。
(2)日米安保条約は「日本の施政下にある領域」に及ぶと規定されている。
(3)だから、尖閣は条約の適用条件を満たしている。
 ところが、これだと将来的に大きな問題が生じかねない。中国は尖閣の領空や領海への揺さぶりをくり返している。この結果、もし日本の実効支配(施政権)が崩れたら、尖閣は日米安保条約の対象から外れてしまう。そんなふうにも解釈できるからだ。
 実際、安全保障政策にかかわった元米政府高官は、中国の狙いがそこにあると読む。

会談後、共同記者会見する岸田外相とクリントン米国務長官(1月18日、ワシントンの米国務省)=共同
 「日本による実効支配を崩せば、もはや尖閣には日米安保条約は適用されなくなる。中国はこう思っている。だから尖閣への揺さぶりを強めているのだ」
 この分析が正しいとすれば、クリントン長官の1月18日発言の重みは大きい。そうした中国の意図を完全に封じ込めることになるからだ。彼女が言ったことを分かりやすく意訳すれば、次のようになる。
 尖閣の実効支配を中国が力ずくで奪おうとしても、米国は認めない。仮にそういう展開になったとしても、米国は引き続き、日米安保条約を尖閣に適用する――。
■事実上認めた日本への帰属
 これは事実上、日本による尖閣の永続的な支配を認めているようなものだ。尖閣が日中のどちらの領土か、米国はこれからも公式には中立を貫くだろう。だが、クリントン発言によって、米国の立場はかなり日本寄りになったのである。
 「彼女は外交の実務を知らない。日米関係が軽んじられないか」。クリントン長官が4年前に就任したとき、日本政府内からはこんな不安が聞かれた。
 クリントン長官の夫であるクリントン元大統領は在任中、米中を「戦略的パートナー」と呼び、日ごとに中国に軸足を傾斜していった。そんな経験から、彼女も同じ路線を走るのではないか。日本側にはそんな懸念もくすぶっていた。
 だが、良い意味で予想は大きく外れた。彼女の在任中、オバマ政権は中国の台頭をにらみ、日米同盟を重視する姿勢を崩さなかった。
 「クリントン長官は当初、強硬な対中観を持っていたわけではなかった。だが、2010年以降、中国の南シナ海での強硬ぶりを目の当たりにして、一気に見方が厳しくなった」
 彼女を知る米有力紙の外交記者はこう語る。だとすれば、尖閣をめぐって強硬な態度に出ている中国は、墓穴を掘ったことになる。
 同国の習近平総書記は25日、訪中した公明党の山口那津男代表に会い、日中首脳会談について「真剣に検討したい」と語った。このままでは中国の利益にならない。習氏もそう感じ始めているのだろう。

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