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2013年2月

全日空社長に篠辺氏 伊東氏は持ち株会社社長に

全日空社長に篠辺氏 伊東氏は持ち株会社社長に

 全日本空輸は24日、4月1日付で持ち株会社に移行することに伴うトップ人事を固めた。伊東信一郎社長(62)が持ち株会社、ANAホールディングス社長に就き、持ち株会社傘下で中核事業会社となる全日空の社長には篠辺修副社長(60)が昇格する。経営の監督と執行の分離に合わせて新体制を築き、意思決定のスピードを速める。

 大橋洋治会長(73)の処遇を含めた新体制の詳細は月内にも決める。

 伊東氏は3月末で社長在任が丸4年。2012年3月期には過去最高となる970億円の連結営業利益を計上した。収益源の多角化を図るため昨年3月以降、2つのLCC(格安航空会社)が就航。さらに意思決定の迅速化を目指して持ち株会社への移行を決断した。

 少子化の進展などで国内旅客需要の頭打ちが見込まれるなか、全日空は国際線の充実などが課題となっている。篠辺氏は整備部門の出身で経営企画や営業部門などの経験もある。事業全般に精通している同氏を中核事業会社である全日空のトップに据えて成長を図る。

 全日空は世界に先駆けて最新鋭機のボーイング787型機を導入。しかし同機はリチウムイオン電池の発煙トラブルが相次ぎ、運航停止を余儀なくされている。篠辺氏はまず当面の対策作りに取り組むことになる。

 伊東 信一郎氏(いとう・しんいちろう)74年(昭49年)九大経卒、全日本空輸入社。03年取締役、07年副社長、09年社長。宮崎県出身。

 篠辺 修氏(しのべ・おさむ)76年(昭51年)早大理工卒、全日本空輸入社。07年取締役、12年副社長。東京都出身。

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「787」原因究明 なお難航 発煙トラブル1カ月

 高松空港で米ボーイングの最新鋭機「787」のバッテリーから発煙したトラブルから16日で1カ月が経過した。日米の運輸安全委員会が現在も調査中だが、組み込まれていたリチウムイオン電池が著しく損傷したこと以外、発煙の原因などはまだわかっていない。調査に時間がかかる理由は何か。背景を探ると3つの要因が浮かんでくる。

部品100万点

 第1の要因は航空機が「巨大な構造物」である点。一般に航空機の部品点数は100万~300万点と自動車の100倍ある。同じ100万点以上とされるロケットでも基幹部品に重大な故障があれば半年以上、打ち上げを延期することがあり、787も復旧には時間がかかるリスクがある。
 元日本航空機長で航空評論家の小林宏之氏は「早ければ3カ月で運航再開は可能だが、大幅な設計の見直しなどがあれば半年~1年かかるかもしれない」と話す。

電子制御

 第2の要因は787が「電気飛行機」である点だ。同機は小型・軽量化のため、最新の電子制御システムを採用している。以前の飛行機は油圧装置で機械的に主翼などを動かしていたが、787は電線1本で電気信号を介し、操作する。
 電子制御式だと大幅に燃費が向上する。だが複雑な制御システムの中のどこに問題があったのかを特定するのが難しくなる。発煙したリチウムイオン電池も壁だ。航空機の仕組みに通じた安全委の担当者は「これまでリチウムイオン電池に焦点をあてて調査したことはない。正直、知見が不足している」ともらす。

国際分業

 3つ目は生産体制だ。米シアトル郊外にある787の工場では生産ラインがほかの航空機と全く異なる。工程はたった4つで、翼や胴体など主要パーツを組み合わせるだけだ。大半のパーツは日本やフランスなど8カ国での国際分業で作られ、ボーイング自体が担う生産は35%しかない。
 これも裏目に出た。問題となった電源システムはシステムのとりまとめがフランス、リチウムイオン電池が日本、充電器は米国にまたがる。
 「ここから調べればわかるという手掛かりが何もない」と話すのは、発煙トラブルの原因調査にあたる運輸安全委員会の後藤昇弘委員長。高松空港での調査から始まり、バッテリーを製造したGSユアサ、バッテリーの制御装置メーカーの関東航空計器(神奈川県藤沢市)、米国の充電器メーカーなど安全委が調査のために立ち入った企業は5社にのぼった。
 事故原因の調査では各国の航空当局や調査委員会などが連携することになる。調査手法などのすり合わせは難しい。
 これまでにわかったのはほとんど、バッテリーで発煙が起きた事実だけだ。地道な調査は着実に実りつつあるとの見方もある。だが、先行して調査を進める米運輸安全委員会(NTSB)の経過報告も踏まえ、原因の糸口を早期にみつけだしていかなければ787の導入を前提に経営計画を立てている日本の航空会社への影響も大きい。

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「黒船」来襲 外資の衣料ネット通販、高級ブランド9割引きも

「黒船」来襲 外資の衣料ネット通販、高級ブランド9割引きも
アプリ開発に注力、日本市場攻略

 海外発の有力ファッション電子商取引(EC)企業が日本での存在感を高めている。海外ブランドの品ぞろえや割安感を打ち出してきた各社だが、足元では価格競争力に加えて利便性の高い機能やサイトのブランド構築に成功し、優良顧客の取り込みに成功している。スタートトゥデイの「ゾゾタウン」に代表されるファッションECだが、市場の順調な拡大の一方で、相次ぐ新規参入により競争環境は厳しさを増す。侵攻を図る「黒船」は台風の目となるか。

ユークスは利用者の4分の1がスマートフォン経由

ユークスは利用者の4分の1がスマートフォン経由

伊ユークス、ショー動画見ながら最新作を購入可能

 イタリアのEC大手ユークスが日本での事業を急拡大している。同社はアルマーニやマーク・ジェイコブズなど1000超のブランドを扱う「ユークス・ドットコム」を中心に、靴専門サイトなど複数の通販サイトを運営。2012年12月期の連結売上高は前の期比29%増の3億7590万ユーロ(約477億円)で、日本での売上高は57%増え、全体の1割弱を占めるまでになった。

 矢野経済研究所(東京・中野)によると、日本のファッションEC市場は15年度に10年度比2倍の9500億円に拡大、EC化率は6%になる見通し。しかし、高級ブランドや宝飾品の分野は、ブランド各社や百貨店がネット通販に慎重だったこともあり、いまだ真空地帯だ。高級ブランドのECで世界最大規模を誇るユークスが「最も成長余地が大きい」とみて開拓を急ぐ理由はここにある。

 同社の強みは日本の店頭では買えないブランドの品ぞろえや、70~90%割引きの大規模セールを頻繁に実施できる価格競争力。さらに、サイトの信頼性を高め優良顧客をひき付けるために重視するのが、ネット技術や世界水準のセンスに支えられた「演出力」だ。

 サイトの構成はファッション誌さながらの鮮やかなデザインや商品画像を多用。ニューヨークやミラノのファッションショーと連携し、ショーの動画を閲覧しながら最新作を予約購入できる。

 昨年9月には9つの言語に対応した音声検索を導入。昨年刷新したスマートフォン(スマホ)向けアプリは、処理速度やデザイン性にこだわり約200人のネット技術者が改良を重ねる。「ネットの活用で進化する消費者に、さらに上を行く付加価値を提供する」(フェデリコ・マルケッティ最高経営責任者)ことが勝ち残りのカギとみる。

東京都江東区のギルト・グループ潮見スタジオ

東京都江東区のギルト・グループ潮見スタジオ

米ギルト、商品写真を自前のスタジオで撮影

 高級ブランドを扱う外資系サイトでは米国発のギルト・グループも好調だ。日本での会員数は約130万人で、リピート率は6割以上。世帯年収1000万円超の会員は24%に上る。時間限定の「フラッシュセール」で最大8割引きを打ち出す同社だが、「安さだけでは差別化できない」(上田紀子ディレクター)との意識も強い。現地化による付加価値を追求する。

 例えば商品の調達や見せ方。日本で扱う商品は日本の消費者の嗜好に精通した日本法人のバイヤーがブランドと交渉し、昨年からは日本未進出の新興ブランドなどを担当者が直接米国や欧州に飛んで調達する仕組みにした。東京・江東の自社スタジオでは、一流のモデルやカメラマンが参加し、毎日最大50品目に上る商品写真を撮影。なじみの薄いブランドは詳細な解説を加えるなど工夫を凝らす。

 日本法人の体制は現在100人規模と、2年間で2倍超に増加。「日本の有力ブランドの関心も高く、取引は順調に拡大している」(上田氏)。今後も日本独自のサービスや機能を拡充するという。

 2社以外にも、米小売り大手のニーマン・マーカスが資本参加するGLSホールディング(香港)が約1200ブランドをそろえ事業を拡大。中国のネット通販大手、麦包包(エムバオバオ)も日本法人を通じてバッグなどの販売を手掛けている。

伊ユークスCEOのフェデリコ・マルケッティ氏

伊ユークスCEOのフェデリコ・マルケッティ氏

「かなりの人数が日本のサービス強化に動いている」

伊ユークス、フェデリコCEOに聞く

 ユークスは昨年、通販サイトの刷新や新サービスの投入などの施策を相次ぎ打ち出した。来日したフェデリコ・マルケッティ最高経営責任者(CEO)に、ファッションECと日本市場の見通しについて聞いた。

 ――世界のファッションECのマーケットをどう見る。

 「ファッションEC市場の成長は確実だが、特にネットでの取り扱いが遅れていた高級ブランドは非常に有望だ。ネットで高級品を買うことに抵抗がなくなり、ブランド側もネット上で商品施策やサービスを洗練させることで世界中の消費者にブランドの魅力を伝えられる。我々との連携を望むブランドも増えている」

 ――日本では市場の成長と共に価格面の競争激化も指摘される。ユークスも値ごろ感が特色だが。

 「豊富な品ぞろえや希少価値の高い商品が競争力の源泉だ。値ごろ感は重要だが、世界的な人気ブランドの商品が日本のどこにいても手ごろな値段で購入できる点を伝えたい。我々には日本の店頭では購入できない新興ブランドの取り扱いも多い」

 ――デジタル端末の普及も市場の成長を後押ししている。EC企業はどのように対応すべきか。

 「日本ではスマートフォン(スマホ)経由の利用が全体の4分の1を占め、さらに増えるだろう。デジタル端末の進化に合わせたサービス改善は多大なコストがかかるが、洗練された消費者を取り込むためには企業側も洗練されるべきだ。我々のイタリアの本社には約700人の社員がいるが、かなりの人数が日本でのサービス強化のために動いている」

 ――円安傾向が続くことで日本事業への影響はあるか。

 「中長期的な成長戦略への影響はない。日本が非常に有望な市場であることに変わりはない」

 《日本勢減速、販促策に誤算》

「競合の動きを見据え、しっかり対策を打っていく」。スタートトゥデイの前沢友作社長は1月末の決算説明会で強調した。同社は2013年3月期の業績予想で売上高を期初予想から18.9%減、営業利益を25.6%減と下方修正。「競合はいない」と公言してきた前沢氏だが、競争環境の厳しさを認め「地に足の付いた経営を目指す」と話した。同業のマガシークは13年3月期に減収と最終赤字を見込み、NTTドコモの傘下入りを発表。苦戦が続くスタイライフは32.5%を出資する楽天が完全子会社化することで合意した。

 各社の失速の一因は販促の誤算にある。スタートトゥデイは昨年、夏セールなどの広告宣伝に8億円を投じたが会員獲得は想定の8割程度で、既存会員のアクティブ率も低下。マガシークも昨年、大規模販促を仕掛けたが「継続的な売り増し効果は得られなかった」(同社)。一方で無料配送やセールによるコスト負担が増し、収益力は低下している。

 立て直しの動きは急だ。スタートトゥデイは広告宣伝費を抑え、サイトの改良や独自の品ぞろえに注力する。マガシークは自分のショッピングリストを作成できる機能や検索機能を拡充する。

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「65歳定年制」で給料、昇進はどうなる?

「65歳定年制」で給料、昇進はどうなる?
 65歳定年制はもとより、再雇用制度で雇用継続を希望する社員は、65歳まで働くことができるようになる。そこで、気になるのは60歳以降の給与だろう。すでに65歳定年制を発表している大和ハウス工業は、定年延長後の給与水準を60歳時の6割程度にする予定だ。従来、嘱託社員として再雇用していた場合の4~5割より、65歳定年制導入で1~2割引き上げるという。同じく、サントリーは60歳時の6~7割程度とし、職位により3段階に分ける見通し。福利厚生についても、60歳前と同じにするとしている。

「再雇用制度で継続雇用される場合は、60歳時の給与の5割程度が一般的。65歳定年延長とする大企業では、それよりも1~2割引き上げるところが多くなるでしょう」(ジャーナリスト・溝上憲文さん、以下同)

■60歳以上の人の給与は40~50代が負担する

 では、継続雇用された高年齢者の人件費は、会社がすべて追加で負担してくれるのだろうか? 溝上さんは「それはない」と否定的だ。

「恐らく、現役世代が実質的に負担するはずです。今までは、サラリーマンにとって40~50代でもらう給与が、生涯で最も高い水準でしたが、まず、その部分が抑制されるでしょう」

 給与の抑制とは、従来型の年功序列による昇給がほぼなくなることを意味する。つまり、40代以降の給与は横ばいが続くことになるのだ(上グラフ参照)。役職が上がっても、給与は上がらないというケースも増えるという。

「先日、大手ファイナンス企業で、50歳の課長が平社員に降格される人事がありました。これはレアケースで、多くの企業が一従業員に対して、そんな大胆な降格や給与の引き下げはできません。さらに、40~50代の給与を抑制するにも限界があり、それだけでは高年齢者の給与負担分を捻出することは無理なのです。そこで、今後は人件費抑制のために様々な手段が用いられるでしょう。

 すごい例では、ある大手電機メーカーが工場を子会社化し、その工場に勤務していた従業員を、そのまま再雇用しました。その際、仕事の内容が同じなのにもかかわらず、給与水準は新たに設定した子会社のものを適用することで、引き下げ幅を大きくしたのです」

■会社の人件費抑制で本格的な競争社会が到来

 溝上さんの推定では、企業は継続雇用の対象となる高年齢者を、次のように評価しているという。

・対象者の約10%が本当に会社に残ってほしい人。
・約60%が、給与分は働いてくれることが想定される、可もなく不可もない人。
・残りの約30%は、残ってもらうと会社の大きな負担となる人だ。

「会社は、社員の見切りを50代前半でつけると考えられます。その年代で部長になっていなければ、少なくとも昇進のラインから外れていることになります」

 50代前半での部長就任が会社で生き残る目安とすると、必然的に40代前半で課長になっていなければならない。すると30~40代にかけて、課長ポストを巡る社員間の競争が激しさを増してくる。もしも50代前半で、会社が不要と判断する30%に属してしまったらどうなるか?かつては、本社での役割を終えた人は子会社へ出向というパターンが多かったが、最近は子会社も連結決算の対象となっていて、もはや余剰人員を受け入れる余裕はない。したがって、会社側は、「早期退職制度」や「希望退職制度」を活用して、積極的に30%の人たちを減らしていくことが想定される。早期退職や希望退職といえば、これまでは、リストラなどで一時的な措置として実施されてきた。しかし、今後は、人件費の抑制のため常態化することになる。

「会社は退職金の割り増しなど、一時金を上乗せしてでも、辞めてほしいと考えています。実際にそうした企業は増えてきています」

 もちろん、雇用延長で働く60代も安穏とはしていられない。正社員として働ける定年延長であれば別だが、再雇用となる場合は、もともとの給与基準が低い子会社での雇用になる可能性が高くなる。これは継続雇用制度が適用される企業の範囲がグループ企業にまで拡大されたためだ。また、継続雇用制度では、高年齢者の能力に応じて、常勤か非常勤に選別されるケースも増えていくだろう。

 雇用延長にともない、順調に昇進した人は、60歳以降も比較的高い給与がもらえ、生涯賃金は確実に増える。可もなく不可もない層は、ほぼ横ばいとなるだろう。一方、会社に必要とされない30%の人の生涯賃金は、減少する可能性が高い。高年齢者雇用は、サラリーマン社会に本格的な選別をもたらす契機となると言えよう。


1.40~50代の給与が下がる

■平均給与は40~50代が突出して高い
男性では20代後半の平均年収が367万円。以降5年ごとに年収が60万~70万円ずつ上昇し、50代前半でピーク(国税庁「平成23年分 民間給与実態統計調査」より)。しかし今後、60歳以降の高年齢者雇用で必要となる給与は現役世代が負担(シェア)しなければならないため、年収の増加ペースはなだらかになる可能性が高い。

■60歳オーバーの人件費増加分は40~50代が負担する!?
65歳定年制や再雇用制度を導入しても、業績好調な企業を除けば、会社の人件費の総枠は変わらないと想定される。それには65歳以降に増える人件費を、40~50代の人件費から捻出しなければならない。

2.30~40代の競争が激化する

「会社が40~50代の給与を抑制するということは、出世コースから外れた人の昇進を止めることにつながります。社員がコースに乗っているかどうかの目安は、部長なら50代前半でしょうか。すると、40代前半には課長になっていなければなりません。つまり、社員間の競争が、どんどん前倒しになっていく可能性が高いのです」(溝上さん)

3.早期退職制度が充実する

早期退職制度や希望退職制度を活用して、人を減らす企業が増える。「60歳になる前に自主的に退職してもらえば、会社は65歳まで雇用する義務がなくなる。会社は退職金の割り増しなど一時金を上乗せしてでも、辞めてほしいと考えています(溝上さん)。現状、早期退職制度の対象は55歳以降がメインだが、今後は50歳まで下がるだろう。

4.再雇用は子会社で!?

再雇用制度が適用される場合、それまでの実績や能力に応じ、新しい雇用先において、常勤あるいは非常勤といった差が出てくる。非常勤勤務になれば、労働する日数、および、1日の労働時間に制限が加わることに。必要とされない人材は、60歳以降の雇用は確保できても、最低限の労働条件で雇われる可能性がある。

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