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2013年3月

従業員や取引先に痛みを強いて利益拡大を目指す「不幸な自己資本利益率(ROE)経営」からの脱却

長期株高へ、さよなら「不幸なROE経営」

 円高・デフレからの脱却を目指すアベノミクスで「構造転換」が始まるとみて株価は大きく上がった。株価の上昇を長期化させるもう一つ大切な「構造転換」は、従業員や取引先に痛みを強いて利益拡大を目指す「不幸な自己資本利益率(ROE)経営」からの脱却かもしれない。トヨタ自動車や三菱重工業など、最近相次いでいる一時金の満額回答の動きは、その予兆なのだろうか。

 「1990年代末以降本格化した、株主への利益配分の拡大のために賃金や取引先への配分を減らす経営が、デフレの大きな要因ではないか」。著書「デフレの真犯人」の中でそう指摘しているのは、日経ヴェリタスのランキングでトップ3に入り続けている株式ストラテジスト、北野一氏だ。

 なぜ日本だけ長期にわたってデフレが続いたのか。アジアの安い製品の流入は日本だけの問題ではないし、期間の長さを考えると金融だけでも説明しづらい。吉川洋東大教授が著書「デフレーション」で指摘するなど、このところ、「真犯人」説が高まっているのが賃金の長年にわたる下落だ。

 グラフAは経済協力開発機構(OECD)がまとめた各国の賃金の推移。「日本だけ90年代半ばから下落が続き、同じ時期にデフレに突入し始めている。両者の因果関係は無視できるものではない」(みずほコーポレート銀行のマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)

 ではどうして日本だけ賃金が下がり続けたのか。経営と対峙しづらい企業別組合など根深い要因もあるが、北野氏は株主からの要求に関係があるとみる。

 「市場参加者の中心が外国人に替わり、外国人から欧米並みの高いROEを求められるようになった。しかし、人口減などで低い成長しか望めない日本にとって、米国並みの高い株主要求利回り(株主コスト)は身の丈に合わない要求。それに応えるため経営者がやりやすかったのは、賃金などを抑えて株主への配分比率を高めること」

 大阪府立大学の野田知彦教授と独協大の阿部正浩教授は共同論文で「すべての計測方法による労働分配率が00年以降に低下。主として賃金の伸び悩みによってもたらされたと考えられる」と指摘している。

 また「金融機関と密接な関係を持つ旧来型の日本型ガバナンスがなされている企業では賃金が相対的に高く、逆に外国人株主の影響が強い企業ほど賃金が低くなる」とも分析。北野氏の仮説と不思議に重なり合う。

 ちなみに銀行などからの借入金の金利(負債コスト)が株主コストより低いのは、業績が良くも悪くも金利は原則的に一律なので貸し手のリスクは小さいからだ。しかし業績次第で取り分が変動する株主からの要求利回り(株主コスト=配当と株価上昇の合計に対する期待値)は、もともとリスクを背負う分だけ高い。

 株主コストが何%であるのかはつかみにくいが、過去のデータからは日本企業の株主全体では7~8%くらいらしいと推計できる(2月4日の「見えざる株主コストが示す1万3000円への道」参照)。これは米国で求められてきた株主コストに近い。確かに、日本企業は株主から米国並みの要求を突きつけられているようだ。

 一方、実際に企業が株主(自己)資本をもとにして稼ぐ利益率がROE(利益÷自己資本)。ROEが株主コストを下回っていると株価は低迷しがちなので、経営者は株主コストを上回るROEを求められる。

 実際には、経営者がみんな株主コストを上回るROEを明確に意識しているわけではないだろう。しかし過去の「従業員中心主義」とまで言われた経営が、今では過度の利益中心主義へ、振り子が大きく振れ過ぎている可能性も否めない。

 利益を増やし高ROEを目指すことは大切だ。日本企業のROEは長く1ケタ代で低迷、15%前後を中心に推移していた米国に大きく見劣りする。低ROEは日本の株安の大きな背景として横たわり続けてきた。そして低ROEの最大の要因は売上高利益率が海外より低いことなので、賃金などを減らして利益率を高めようとする行動は一見当たり前にも見える。

 北野氏は「ROEが低くてもいい、と言っているのではない」と話す。「身の丈に合わないROEの期待に応えようとし、株主以外の取り分を減らすことでデフレが加速して売上高が減少、総資産回転率の悪化でROEが下がる。合成の誤謬(ごびゅう)だ。結果的に実現ROEが低くなるという逆説が起きていることが、もっと考えられてしかるべきだ」(図B参照)

 こうした考え方には「そもそもROE経営はまだ不十分」など、多くの反論もありそうだ。しかし、従来のROEをめぐる議論の大半は「低ROEは悪。米国並みに引き上げることが大事」というあたりで止まってしまう。それは極めて正論だし大事なのだが、株主以外のパイを削ることで高ROEを目指すという「不幸なROE経営」の弊害は、もっと幅広く議論されるべきだろう。

 この春相次いだ賃上げ回答。それは意識転換の始まりだろうか。多くの企業の場合、賃金改善につながるベースアップではなく、あくまで一時金が焦点。単に業績回復をにらんだ一時的な動きであるとも言える。

 ただそれだけとも限らない。ローソンの新浪剛史社長は20~40代の社員の年収を3%上げると表明。セブン&アイ・ホールディングスがベースアップを含む賃上げを実施することが明らかになった。

 背景に見えるのは「このまま賃金デフレが続けば国内の消費は沈滞し、自分で自分の首を絞める」という経営トップの危機感だ。「潮目の変化」が起き始めている可能性もゼロではない。

 従業員や取引先を犠牲にせず高ROEを目指す「幸せなROE経営」とは何か。ブランド強化による利益率向上や、現状では国内より利益率が高い新興国などでの事業展開(経済産業省の海外事業活動基本調査参照)など、様々な選択は考えられる。もちろんどれも簡単なことではないが、挑戦を続けるしかない。

 「不幸なROE経営」がデフレの要因の一つだったのなら、「幸せなROE経営」こそ脱デフレと長期株高の要因になりうるからだ。

 経営者の意思しだいで可能なのは、高い利回りが要求される株主(自己)資本の比率を減らして、国際的に断トツで金利が低い借入金(負債)の比率を増やすことだ。ROEは「利益÷自己資本」なので自己資本比率が下がれば計算上高まりやすい。

 ではどれくらいがいいのか。図Cでわかるように、株主(自己)資本コストより要求利回りが低い負債の比率が上がれば、全体のコストは下がる。ただし負債比率が高まりすぎると倒産リスクが高まって負債コスト、株主コストともに上がるので、増やしすぎるのはよくない。株主資本と負債全体の「加重平均資本コスト」をもっとも小さくする比率は「最適資本構成」と呼ばれ、企業ごとに異なる。

 しかし「多くの日本企業は、負債の比率が最適資本構成に比べてかなり小さくなっている」(公認会計士でもある太田達之助・大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツのプライベート・エクイティ部長)

 いざというときに機動的に増やせる負債の枠を残しておくために、普段は比率を小さくしている側面もあるが、「なんとなく負債は少ない方がいいというイメージを持っている企業が多い」(太田氏)のも要因だ。借入金(負債)金利の国際的に突出した低さというメリットを十分に生かすには、負債比率をもう少し高める選択はあるだろう。

 ソフトバンクは米国通信会社買収の際、資金を株式発行でまかなわず、全額借入金にした。様々な理由があるだろうが「負債を増やして株主資本の比率を下げながら利益を増やし、ROEを高めていくという選択」(広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジスト)が一部で始まっているのかもしれない。

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パナソニック「定昇」維持 一時金は最低4カ月確保

赤字企業でもこれなのに、うちの労働組合は何やってんだ。


パナソニック「定昇」維持 一時金は最低4カ月確保

 パナソニックは13日、2013年春の労使交渉で定期昇給に相当する「賃金体系の維持」を労働組合に回答したと発表した。年間一時金については「最低4カ月分」を確保した上で、業績連動の算定式に基づいて支給する。産業別最低賃金(18歳見合い)については、現行水準より1000円の引き上げを求める要求に対して500円の引き上げを認め、15万5000円とする。

 パナソニックは2013年3月期に2期連続で7000億円以上の巨額赤字を計上する見込み。経営環境が厳しいとして、組合側がベースアップに相当する賃金改善要求を4年連続で見送っていたため、今春の労使交渉では賃金体系の維持と一時金が争点になっていた。

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クレーム噴出、目立つ欠航…成田発格安航空の実態

クレーム噴出、目立つ欠航…成田発格安航空の実態

2013/3/11 7:00
日本経済新聞 電子版

 予約確認できないウェブサイト、つながらないコールセンター…。日本の国内線に格安航空会社(LCC)が就航して1年。空の旅を身近にしたのは確かだが、利用者からのクレームがいまだ絶えず、欠航も目立つ。日本の空に果たして定着するか。

■ドライな対応にクレーム急増

 昨年12月。新千歳―成田間のジェットスター・ジャパンの往復チケットをネットで購入した札幌在住の田島英子(仮名、37)は東京で1泊した後、ウェブサイト上で復路便の予約確認をしようとした。ところが、予約確認のサイト画面がうまく作動しない。コールセンターに電話してもオペレーターにつながらない。そんな状態が1時間半…。当日中に札幌に戻らなくてはならないので、予約できていなかった場合に備え、やむなく新規に予約した。

 成田空港のジェットスターのカウンターに着くと復路便は予約できていた。追加予約した便の取り消しを求めたが、係員は「予約取り消しの払い戻しはできません」と、にべもない。さらに次の説明が追い打ちをかける。「ウェブで予約確認できない場合、成田まで来て予約確認する方がけっこういらっしゃいますよ」。自分が責められているような気がしたという。

 「予約変更したいのにコールセンターに電話がつながらない」(50代男性)。「予約した便が勝手に早朝便に変更され、キャンセルを申し出たが応じてもらえない」(40代女性)――。全国の消費者センターにはLCCに関する苦情が相次いでいる。2012年の航空サービスについての苦情件数は1238件と前の年に比べ44%も増えた。

 LCCは機材をできるだけ少人数で効率的に運営し、サービスも必要最小限に抑えてコストを減らし、運賃を既存大手に比べ半分以下の格安にする。機材が少ないうえ、空港での待機時間を短くして運航するので、トラブルが発生すると欠航がでやすい。「欠航が出ても原則代替便はない」「キャンセルしても運賃が戻らない」など対応はドライだ。

 一足先にLCCが普及した海外では、格安と引き換えの不便さを利用者はある程度理解して利用しているが、大手の高いサービス水準や、時刻表通りに正確に走る交通網に慣れた日本の利用者には戸惑いが大きいようだ。

■4カ月でCEOが交代したエアアジア

 昨年、LCC市場に参入した3社のうちジェットスターは豪州、エアアジア・ジャパンはマレーシアのLCCが運営母体。本国で成功したビジネスモデルを持ち込んだものの、「本国基準」のサービスが「日本人基準」に合わないギャップに直面する。

 ジェットスターは就航した昨年7月の利用率は85%と好調な出足だったが、繁忙期の夏を過ぎると客足が遠のき11月には65%にまで低下。12月以降は利用率を公表しなくなった。エアアジアもスタートした昨年8月は84%だった利用率が10月、11月には50%台にまで低下。リピーターが増えず、両社の目算は大きく狂った。

 エアアジアは12月、状況打開を狙って、就任からわずか4か月でトップを交代。「ウェブが使いにくいことがリピーターの増えない原因だった」――。急きょ登板した最高経営責任者(CEO)の小田切義憲の最初の仕事はウェブシステムの改良だった。エアアジアが導入したウェブ予約システムは、マレーシアの本国モデルをそのまま日本語に訳したものに近い。データの処理速度が遅いうえ、途中に英語の部分が残るなど日本人には使いにくかった。

 小田切はマレーシアのエアアジア本社からITシステム担当者を呼び、ピーチ・アビエーション、ジェットスター、エアアジアのそれぞれのウェブサイトで予約が完了するまで時間を計測してみせた。1位は断トツでピーチ、2位ジェットスター、エアアジアは最下位。「日本人のスピード感からは根本的に遅すぎる」と改良を迫った。

■LCCを悩ます「雪」

エアアジアは就航当初は高い利用率だったが…

エアアジアは就航当初は高い利用率だったが…

 LCCはもうひとつの日本特有の事情に翻弄されている。雪だ。

 ジェットスターが国内線に参入した昨年7月から今年3月2日までに発生した欠航便数は203。航空会社の運航品質を示す重要な指標である「定時出航率」は10月は92%だったが、1月には77%に落ちた。新千歳―成田間のフライトで雪による遅延が増えたことが響いた。

 雪の少ない豪州育ちのジェットスターや東南アジア生まれのエアアジアにとって新千歳空港は鬼門。雪が降ると様々な余分な作業が発生する。機体についている雪が氷になると揚力に影響するため、出発するごとに機体から除雪材をまかなければならない。搭乗機までバスで移動して歩いてタラップを上がる乗客の動きも鈍くなる。こうした時間が積み重なり、定時出航を難しくする。

■成田空港の厳しい「門限」

 ジェットスターとエアアジアの苦戦の要因は、参入を急ぐ余り日本人の嗜好や気象条件に十分に対応しきれなかったことにある。しかし、両社が実力を出しきれないのは日本の空港インフラの問題もある。

国内LCCの主なトラブル
2012年
3月1日
ピーチ就航
3月28日ピーチ、長崎空港で脱出用装置誤作動で初の欠航便
7月3日ジェットスター・ジャパン就航。成田の混雑に巻き込まれ初日に欠航便。その後も欠航相次ぐ
8月1日エアアジア・ジャパン就航
8月12日エアアジア、沖縄―成田の最終便が制限時間内に戻れず急きょ羽田に到着地変更
10月エアアジア、ホームページ上で個人情報流出発生
11月16日ジェットスター、整備上の問題で国交省から厳重注意
13年
2月9日
ジェットスター、エンジン故障発生

 頼むから間に合ってくれ――。

8月15日、午後10時過ぎ。成田空港近くのエアアジア・ジャパン本社(現在は成田空港内に移転)は緊迫した空気に包まれていた。

 沖縄―成田の最終便が成田空港の発着制限時間内の午後11時に間に合うかどうか、瀬戸際にあった。お盆の混雑で朝から運航便は遅れがち。最終便が沖縄を出発するころには1時間10分あった余白時間をほぼ使い切っていた。3日前には制限時間に間に合わず、急きょ羽田空港に着陸した。欠航は避けたい。かといって、目的地以外での着陸を繰り返しては基本的な運航品質に関わる。社員は祈るような気持ちで最終便の軌跡を追った。

 午後10時59分55秒。残りわずか5秒で最終便は滑走路に降り立った。ほっと胸をなで下ろすエアアジアの関係者。制限時間ぎりぎりの運航は今なお続いている。

 成田空港は周辺住民への配慮から、離着陸が許されているのは午前6時~午後11時。少ない機材をフル稼働させるLCC運航には大きな制約だ。保有7機のジェットスターの就航から直近までの欠航率は2.8%。223機を保有する日本航空の昨年1年間の国内線欠航率1.4%と比べると欠航率の高さが目につく。ジェットスターの場合、天候以外の理由で欠航になったケースが全体の53%で日航は34%。時間制限に間に合わず早々に欠航を決めるケースが多いのだ。

 通常、LCCは欠航になっても原則として、他社への振替便を用意するなどの対応はない。だが、就航初日に欠航を出してしまったジェットスターはホテル宿泊代や交通費、無料券を配っている。世界のLCCの常識に照らすと異例の措置だが、それだけ欠航による利用者離れを恐れている。

 1路線で安定的な黒字を出すには1日4往復分(8便)の運航が必要とされるが、エアアジアやジェットスターはせいぜい3往復(6便)分にとどまる。単純計算で4往復に比べ売り上げは25%減る。人件費にも無駄がでる。一般的な航空会社の勤務協定では、客室乗務員やパイロットなどクルーの連続勤務は国内線では2往復程度が限界とされる。1機材1日あたりクルーが2組必要になる計算だが、3往復分しか飛べないと後半のクルーは半分しか稼働できない。

■100万円の時計

ピーチは24時間利用可能な関西空港を拠点にすることで、比較的欠航便が少ない

ピーチは24時間利用可能な関西空港を拠点にすることで、比較的欠航便が少ない

 LCC側も当初から成田の制約はわかっていたが、それでも進出を決めたのは着陸料の割引やLCC専用ターミナルなど「いろんなインセンティブを考えている」という空港側の優遇策を期待してのことだった。ところが、既存航空会社との調整などが難航し、空港側の動きは鈍い。それどころが1円単位でコスト減らしに取り組むLCCの神経を逆なでするようなこともあった。

 「時計いかがですが」――。昨年9月、成田空港の運営会社の職員がエアアジアに時計の売り込みにきた。カウンターの上部に設置する大型のデジタル時計だ。CEOの小田切は時計の金額を聞いて耳を疑った。その額100万円。コストを極限まで切り詰めるLCCが時計にそんな金額を出せるはずがない。「どこまで本気でLCCの優遇措置を考えてくれているのか…」。コスト意識のあまりの違いがこんな疑心を抱かせている。

■関西空港を拠点とするピーチは…

 集客に有利な成田空港を拠点にしながらも、苦戦するエアアジアとジェットスター。一方、関西空港を舞台にしたLCCの世界はやや異なる光景だ。

 2月のある日、関西空港のLCCターミナルに足を運んだピーチCEOの井上慎一は、自社便に利用者が列をなす光景に目を疑った。閑散期の2月にピーチでは満席便が続出している。「感覚的だが、リピーターがかなり増えている。それと『これまでLCC大丈夫かな』と遠巻きに見ていた方が利用し始めているのでは」と井上は分析する。

 全日空の社員だった08年、LCC参入の準備を指示された井上がまずこだわったのは、航空会社としての基本品質。「汚くてもうまい中華料理屋に行列ができるのと一緒で、まず安全でダイヤ通りの運航と使いやすさが最優先」と判断した井上の頭の中には、発着時間制限がある成田を拠点空港にする選択肢はなく、24時間利用可能な関西空港を選んだ。関空もLCC誘致を空港間競争の生き残り策の柱に据え、いち早く使用料の安いLCCターミナルを建設するなどピーチ支援に動いた。

 ウェブシステムを日本人が好むスピードに合わせて設計した。バーコードで簡単にチェックインできる仕組みを取り入れ、当初想定外だった60歳以上の利用客も取り込んでいる。キャビンアテンダント(CA)の制服は日本人の顔が一番きれいに見えるオレンジを加味した紫色を採用。徹底してLCCを日本流にカスタマイズした。

■6000円の「神戸牛」機内食も

ピーチは日本人の顔が一番きれいに映るという色合いの制服を採用した

ピーチは日本人の顔が一番きれいに映るという色合いの制服を採用した

 ピーチの運航品質は安定している。昨年3月の就航から今年1月末までの平均定時出航率は83%とLCCの中では群を抜く。欠航率も大手並みの1%にとどめ、利用率も76%を確保する。安定した運航が顧客を呼び込んでいることが数字に裏付けられている。3年目で単年度営業黒字を達成できる可能性が高まっている。

 「20食限定で6000円の神戸牛ステーキを出せないかな」。井上は今、社内でこんなアイデアを出している。運賃を抑えた分だけ財布のヒモが緩むはず。目指すのは格安運賃だが、既存大手を上回る満足度のLCC。顧客の要求水準の高い日本で磨いたサービス力を武器に新しいLCCのモデルを作り上げ、本場アジアへの本格進出を狙う。

 苦戦が続いた海外発LCC組も反転攻勢に向けて動き始めた。エアアジアは旅行会社の仲介販売の比率が高い日本の事情に合わせ、販売をウェブだけに頼らず、旅行会社を活用して顧客層を広げる取り組みを開始。ジェットスターも大株主の日本航空と共同運航便を6日から実施し、日航の顧客の取り込みを狙う。両社とも中部空港への進出を決めた。制約の多い成田の依存度を下げることで、遅延や欠航を減らそうとしている。

 格安のLCCの安全性を不安視する声もまだ一部にある。安全基準は既存大手もLCCも同じで「低価格=低安全性ではない」とLCC各社は訴えるが、隙もあった。昨年3月にピーチで非常用脱出装置が飛び出すトラブルが発生。11月にはジェットスターが整備士の選任で安全管理上の問題あるとして、国土交通省から厳重注意を受けた。まずは安全に関わる対策を充実させ、利用者からの信頼を確実にすることが2年目の最優先課題だ。

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年収1000万円のエアラインキャプテンはいない。

何を根拠にキャプテンの給与が1000万円なのか。以下の募集要項をみれば明らかに17万ドル以上にもなるのに。全く日経は提灯記事ばかりだ。

http://tbe.taleo.net/CH07/ats/careers/requisition.jsp?org=HACS&cws=2&rid=12


全日空、「MCC」が切り札?
LCCとの間埋める伏兵 「787不在」補う期待

 全日本空輸(ANA)が4月、持ち株会社(HD)制に移行する。事業の性質に応じて組織や待遇を分け、格安航空会社(LCC)事業と、高品質のサービスを提供する国際線事業を同時に拡大する狙いだ。米ボーイング787型機の運航停止が長引くなか、HD制は企業競争力につながるのか。カギのひとつが国際線中心に担う子会社「エアージャパン」。ANA本体とLCCの隙間を埋める、いわば「ミドル・コストキャリア(MCC)」として収益面でも切り札になる可能性を秘める。

 成田空港、夜9時30分――。ANAの成田発着路線(外資系航空会社との共同運航便を除く)では一日の最後となるハワイ・ホノルル行き1052便が離陸する。1052便は機体のカラーや乗務員の制服こそANA本体とまったく同じだが、実は運航しているのはエアージャパンだ。

 エアージャパンはハワイ路線のほかバンコク、中国・大連、香港などのアジア路線を中心に週56便の運航を担う。ANAグループの全便数に占める割合は2%弱にすぎないが、ANA本体に比べて20~30%ほど身軽なコストが持ち味だ。現在使用している航空機は米ボーイング767型機1機種のため、運航の安全・定時制確保や機内サービスの習熟度合いにも定評がある。

 競争力の源泉は、外国人パイロットや勤務形態の比較的自由な客室乗務員(CA)を積極的に登用していることだ。ANAグループのパイロット給与は1989万円(平均45歳)なのに対し、エアージャパンは1000万円をやや上回る水準とみられる。

 客室乗務員は日本人中心でANA本体を産休などでいったん離れた経験者や外国航空会社からの転職組も少なくない。それでも中途採用時には英語能力テスト「TOEIC」で600点以上が条件。外国人の乗客にも十分に対応できるレベルの会話力が求められる。

 契約制で乗務時は時給2600円から、地上勤務時は同1000円が基本だ。働きやすい職場環境と相まって、今年2月の経験者試験は24人の採用枠に対して数百人の応募があった。

 HD制の導入で、こうした子会社が存在感を一段と増す可能性がある。「アジア路線はANA本体からエアージャパンに段階的に移管したらどうか」(SMBC日興証券の板崎王亮シニアアナリスト)――。株式市場では、こんな期待感も高まる。

経営資源の再配分カギ
 しかし、それはANA本体の運航効率が必ずしも高くないことの裏返しでもある。航空機をはじめ2兆2000億円弱の総資産を持つが、2013年3月期の連結売上高見通しは1兆4700億円。経営効率を示す総資産回転率(売上高を総資産で割って算出)は約0.7回と、目安となる1回を下回っている。総資産回転率が高いほど、少ない資産で効率よく稼いだことを示す。

 ライバルの日本航空(JAL)は経営再建の過程で多額の債権放棄を受けたうえ、採算管理の徹底で総資産回転率は1回をやや上回るまでになった。米デルタ航空が0.8回、仏蘭エールフランス-KLMは0.9回程度であることを見ても、ANAは改善の余地が大きい。

 もっとも商品・サービスの展開は時流を読み違えると収益の重荷になりかねない。エアージャパン設立はバブル景気末期の1990年(当時の社名はワールドエアネットワーク)。大分―シンガポールを皮切りに地方都市と海外を結ぶ専門航空会社として期待されたが、需要見通しの甘さがたたり95年から2000年まで会社自体が一時休業した経緯がある。

 先月末、ANAは787型機の運航停止を5月末まで延長することを決めた。1月からの欠航・減便は計3602便と、日本航空(JAL)の計766便よりも多い。書き入れ時の大型連休を直撃する一大事となる。

 「収益への影響は軽微」(伊東信一郎社長)と強調するが、14年3月期連結営業利益は会社見通し(今期見通し比18%増の1300億円)に対し、アナリスト予想の中心値はほぼ今期並みの1130億円強にまで切り下がっている。HD制移行による経営リソースの再配分の成否によっては、ANA本体とLCCの隙間を埋め、787型機の不在を補うことができるかもしれない。

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65歳定年制 ノンキャリ公務員は60歳以降も年収620万円試算

65歳定年制 ノンキャリ公務員は60歳以降も年収620万円試算
2013.03.07 16:00
 民間企業の「65歳雇用延長」義務化に合わせて、公務員にも原則、希望者全員の「再任用」制度がつくられた。
 エリート官僚は退官後に独立行政法人や民間企業への天下りという優雅な「第2の人生」が保障されているが、そうした特権を持てない役人は、定年退職の翌日、改めて役所からフルタイム勤務の官職に「再任用」されるのだ。もちろん、身分は65歳まで公務員のままである。
 本誌がこれまで報じてきたように、民間企業の場合、雇用延長といっても60歳以降は手当やボーナスがない嘱託社員や時給制の派遣社員として再雇用され、年収200万円程度まで大幅に下がるケースが多い。しかし、公務員は再任用後の給料・待遇が民間と比べて段違いに恵まれているのだ。
 人事院の資料(『国家公務員の再任用制度』)をもとに、今年4月以降に60歳の定年を迎えるノンキャリアの本省課長補佐Aさん(行政職6級。人事院のモデル年収約890万円)の再任用後の収入がいくらになるかを試算した。
 まず基本給(俸給)が月額31万9100円、それに「地域手当」(東京勤務は俸給の18%)と「本府省業務調整手当」を加えた月給は約40万円。さらにボーナスが年間2.1か月分支給されるため、年収は約560万円になる。現役時代の年収ピーク時の63%に相当する金額だ。
 それ以外にも、「超過勤務手当」「特殊勤務手当」「休日給」など各種手当が支給され、格安の公務員宿舎にも住み続けることができる。
 しかも、この再任用制度は「暫定的」なもので、人事院が政府に提出した公務員の定年延長の意見書には、さらにバラ色の老後設計が盛り込まれている。
 それによると、年金支給開始年齢の引き上げに合わせて公務員の定年を段階的に65歳まで延長し、61歳以降の給料は現役時代の7割を保証、ボーナスは3か月分支給、現在の再任用制度では支給されない扶養手当や住宅手当なども現役時代と同様に支給するとされている。そのため、前述のAさんのケースでは年収約620万円になる。
 指定職と呼ばれる審議官や局長などの高級官僚は60で役職定年となるが、その後は専門職である「スタッフ職」などに異動して俸給をそれまでの73%に下げるとしている。元審議官なら年収は約1200万円、元局長は約1300万円が保証される。
 これほど恵まれた定年延長なら「天下りは65歳の定年後でいい」と霞が関に“窓際高給官僚”が溢れる光景が目に浮かぶ。

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一年前の記事 伊東信一郎 「格安航空5年後2000億円目指す」

全日空社長「格安航空5年後2000億円目指す」

2012/3/6 2:12
 全日本空輸の伊東信一郎社長は日本経済新聞の取材に応じ、今年本格稼働する格安航空会社(LCC)の売上高規模について5年後に「1500億~2000億円を目指す」と述べた。
 低価格で新規需要を創出し、収益源に育成する。 全日空系LCCはピーチ・アビエーションが1日から運航を始めたほか、エアアジア・ジャパンが8月に初就航を迎える。伊東社長は連結対象のエアアジア・ジャパンについて「毎年航空機を5、6機増やし、2016年度に25~30機体制とする」と語った。
  LCCについては「『ANA』ブランドでできなかった新たな需要が開拓できる。多少、顧客が流れることはあるが、トータルでグループ収益に貢献する」と強調。今後の国内での浸透については「自宅から成田まで3千円かけて、そのあと3千円で北海道へ、というのもどうか」と述べ、アクセス改善が課題となるとの見方を示した。
 一方でグループで収益力強化にも取り組む。「収入を落とさずにいかにコストを引き下げるかに注力する」といい、具体的には、米ボーイング社製最新鋭中型機「787」の活用で国際線を拡大する一方、事業の抜本的な見直しで費用を減らす。
 13年4月からの持ち株会社制移行も「(持ち株会社が)機材配分などを機動的に実施しスピード力を高める」狙いだ。 「全日空の運航コストはおそらく世界で一番高い」との危機感から、このほどまとめた経営計画では運航コスト1000億円削減を掲げている。

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短大高専大学卒業比率

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全日空、787不在を救うか「MCC」

全日空、787不在を救うか「MCC」

 全日本空輸(ANA)が4月、持ち株会社(HD)制に移行する。事業の性質に応じて組織や待遇を分け、格安航空会社(LCC)事業と、高品質のサービスを提供する国際線事業を同時に拡大する狙いだ。米ボーイング787型機の運航停止が長引くなか、HD制は企業競争力につながるのか。カギのひとつが中型機で国際線中心に担う子会社「エアージャパン」。ANA本体とLCCの隙間を埋める、いわば「ミドル・コストキャリア(MCC)」として収益面でも切り札になる可能性を秘める。

ANAは経営資源の再配分にとりくむ(羽田空港に駐機する全日空機)

ANAは経営資源の再配分にとりくむ(羽田空港に駐機する全日空機)

 成田空港、夜9時30分――。ANAの成田発着路線(外資系航空会社との共同運航便を除く)では一日の最後となるハワイ・ホノルル行き1052便が離陸する。1052便は機体のカラーや乗務員の制服こそANA本体とまったく同じだが、実は運航しているのはエアージャパンだ。

 エアージャパンはハワイ路線のほかバンコク、中国・大連、香港などのアジア路線を中心に週56便の運航を担う。ANAグループの全便数に占める割合は2%弱にすぎないが、ANA本体に比べて20~30%ほど身軽なコストが持ち味だ。現在使用している航空機は米ボーイング767型機1機種のため、運航の安全・定時制確保や機内サービスの習熟度合いにも定評がある。

 競争力の源泉は、外国人パイロットや勤務形態の比較的自由な客室乗務員(CA)を積極的に登用していることだ。ANAグループのパイロット給与は1989万円(平均45歳)なのに対し、エアージャパンは1000万円をやや上回る水準とみられる。客室乗務員は日本人中心でANA本体を産休などでいったん離れた経験者や外国航空会社からの転職組も少なくない。それでも中途採用時には英語能力テスト「TOEIC」で600点以上が条件。大学4年生の平均が500点を少し超えたくらいなので、エアージャパンでは外国人の乗客にも十分に対応できる会話力が求められる。契約制で乗務時は時給2600円から、地上勤務時は同1000円が基本だ。働きやすい職場環境と相まって、今年2月に行われた経験者試験は24人の採用枠に対して数百人の応募があった。

 HD制の導入で、こうした子会社が存在感を一段と増す可能性がある。「アジア路線はANA本体からエアージャパンに段階的に移管したらどうか」(SMBC日興証券の板崎王亮シニアアナリスト)――。株式市場では、こんな期待感も高まる。今回のHD制は事業持ち株会社の下にグループの各運航会社がぶら下がるイメージでANA本体、エアージャパン、小型機で地方路線を担う「ANAウイングス」、LCCの「エアアジア・ジャパン」の計4社が中心となる。ANAが約4割出資するLCC「ピーチ・アビエーション」は当面、経営の独立性を保つ。国際線を手掛けるエアージャパンがMCCとして秘める可能性は大きい。

 しかし、それはANA本体の運航効率が必ずしも高くないことの裏返しでもある。航空機をはじめ2兆2000億円弱の総資産を持つが、2013年3月期の連結売上高見通しは1兆4700億円。経営効率を示す総資産回転率(売上高を総資産で割って算出)は約0.7回と、目安となる1回を下回っている。総資産回転率が高いほど、少ない資産で効率よく稼いだことを示す。ライバルの日本航空(JAL)は経営再建の過程で多額の債権放棄を受けたうえ、採算管理の徹底で総資産回転率は1回をやや上回るまでになった。米デルタ航空が0.8回、仏蘭エールフランス-KLMは0.9回程度であることを見ても、ANAは改善の余地が大きい。

 LCCやJALとの運賃競争で売上高の大幅な伸びが期待できないなか、経営効率を高めるにはコスト改革が欠かせない。スカイマークの西久保慎一社長は「良い商品・サービスをより安くが商売の基本なのに、航空業界は長年、利用者とかけ離れたところであぐらをかいてきた」と話す。スカイマークは14年には成田-米ニューヨーク線で国際定期便に本格参入する。大手やLCCの手薄な「格安・長距離」という新市場を開拓する狙いだ。国内線では上級シート席を導入する。

 もっとも商品・サービスの展開は時流を読み違えると収益の重荷になりかねない。エアージャパンが設立されたのはバブル景気末期の1990年(当時の社名はワールドエアネットワーク)。大分-シンガポールを皮切りに地方都市と海外を結ぶ専門航空会社として期待されたが、需要見通しの甘さがたたり95年から2000年まで会社自体が一時休業した経緯がある。JALはタイ人などをCAに登用した国際リゾート線子会社「JALウェイズ」を続けることができなかった。

 先月末、ANAは787型機の運航停止を5月末まで延長することを決めた。1月からの欠航・減便は計3602便と、日本航空(JAL)の計766便よりも多い。書き入れ時の大型連休を直撃する一大事となる。「収益への影響は軽微」(伊東信一郎社長=1日の記者会見で)と強調するが、14年3月期連結営業利益は会社見通し(今期見通し比18%増の1300億円)に対し、アナリスト予想の中心値はほぼ今期並みの1130億円強にまで切り下がっている。HD制移行による経営リソースの再配分の成否によっては、787型機の穴を埋めることができるかもしれない。(清水崇史)

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