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安倍相場に焦らず「次」狙え 20代からの株投資

安倍相場に焦らず「次」狙え 20代からの株投資
アベノミクスがバラ色老後に与える影響(3)

 日経平均株価が5年4カ月ぶりに1万5000円台を回復しました。安倍晋三政権にちなみ「アベノミクス相場」や「安倍相場」と呼ばれる今回の株高の特徴は、極めて短期間で急騰したことです。野田佳彦前首相が衆院解散を表明した2012年11月から半年での上昇率は7割に達し、戦後2番目の大相場といわれています。

 これがどれほど急激なスピードか考えてみましょう。資金を持つ人が10年で元本を1.7倍に増やすには、年平均5.5%の利回りが必要な計算になります。年5.5%というのは、1990年代に企業年金が目標としていた運用利回りです。しかし実際にはこの20年間、公的年金や企業年金にとって5.5%のハードルは相当高かったのです。

 つまり今回の株高は、この10年にプロでも達成が難しかった運用成績を10年分まとめて獲得したほどの勢いだということです(実際には分散投資でリスクを抑えるため、日本株だけに投資するわけではありませんが)。

■これからの投資デビューには注意点も

 株式相場の活況を伝えるニュースや解説を読み、「私も株を始めてみようか!」と興味を持ち始めた若い世代の方も多いと思います。しかし、いまから投資を始めることはチャンスでもある半面、注意すべき点もあります。

 まずチャンスととらえてほしいのは、これまで投資をしてこなかった人が実際に投資を経験してみることは一生の財産になるということです。

 このコラムでも3月に「20代から始める 誰でもできる資産運用入門」と題し、投資初心者が陥りがちなミスを防ぐ方法や心構えを紹介しました。4回の連載を通じ、普通の会社員の方もぜひ投資を始めてみてほしいというメッセージを込めています。

 銀行の口座と違い、株式や債券、投信の売買に使う証券口座はその必要がなければ開設しないのが普通です。もし「投資してみたい」と興味を持った人は、まず口座だけでも開いてみるといいでしょう。インターネットで申し込めば簡単に手続きできます。

 一方で注意すべき点としては、投資経験のない人が「いまからでも70%増やせるかも!」と軽く考えているとしたら要注意だということです。

 3月12日付の「普通の会社員が投資でカモにならないための6カ条」でも指摘しましたが、人は投資するとき自信過剰に陥りやすく、適切な判断ができなくなることがよくあります。初心者ほど「自分に才能があるかもしれない」と過信しやすいのです。

 実際にチャレンジしてみると分かりますが、平静を保ちながら投資の判断をすることはなかなか大変です。相場の動きはあなたの思い通りにはならずイライラしますし、損を抱えた状態もしょっちゅう起きます。こうした状況に慣れていかなければ、無用の損失を積み重ねることにもなるのです。

 「まだチャンス」と楽観的に考えるだけでなく、「いまの上昇相場も今日がピークかも」と意識することが大切です。これから投資デビューするなら、最初は少額からのチャレンジにしておくといいでしょう。

■アベノミクス相場に乗れた人の3条件

 アベノミクス相場で資産を増やした人には3つの特徴があります。共通するキーワードは「上がる前」です。

(1)実際に投資し、上昇相場がきたときにすぐ乗れるようにしていた

 まず、株価が上昇基調になる前から投資にチャレンジしていた、ということです。もちろん株式投資には価格変動のリスクがあり、元本を割り込む可能性があります。それでも中長期的には相場が上昇に転じるタイミングがあると信じてお金を投じ、待つことができた人が今回のアベノミクス相場でも最初に笑うことができたわけです。とにかく「上がる前」から投資しておくことが重要です。

(2)お金をしっかりため、いつでも投資できる資金を用意していた

 次に、アベノミクス相場を迎える前に投資できるだけの資産を持っていた、ということです。どんな投資も、元手がなければお金を増やすことはできません。借金して投資をするのは論外ですから、投資にチャレンジするお金を「上がる前」に用意できることが、どんな相場に挑むにしても必要になります。

(3)投資について知識を学び、実際の投資を通じて成功・失敗体験をしていた

 最後に、投資への知識と経験がある状態で株価上昇局面に対応できたということです。未経験のままいきなり株式投資に挑むのはなかなか大変です。先ほど指摘した通り、目まぐるしく変動する株価をみて冷静さを保つのは大変ですし、投資判断のための知識も必要です。「上がる前」に勉強や経験をしておいてほしいのです。

 これら3つの特徴で分かるように、実は投資における勝負の半分以上は「上がる前」に決まっているといっても過言ではありません。楽しい人生とバラ色の老後に向けた資金づくりに投資を活用するためには、上がった後ではなく「上がる前」の準備を考える必要があります。

■上げ相場は人生で何度もやってくる

 「そんなことを言われても、もう遅い。いまの株高で手っ取り早くもうけたいんだ」という人も多いでしょう。しかし20~30代の読者の皆さんにとって重要なのは、相場の上昇は人生においてまだ何度もやってくるということです。今回ほど極端な上昇は少ないかもしれませんが、株式市場は上がったり下がったりを繰り返しながら、さながらヘビがのたうつように動いていきます。

 筆者は確定拠出年金(日本版401k)の投資教育が専門ですが、日本版401kがスタートしてから12年の間に日経平均の8000円割れが2回、1万5000円超えも2回ありました。それくらい株価の上下動は大きいのです。

 まだ投資したことがない人のために大まかなイメージでいえば、10年も投資をしていれば2回上下があるくらいの感覚です。つまり、いま30歳の人であれば「バラ色老後を迎えるまでに6回くらいは上昇相場がある」とゆったり構えておけばいいのです。

 これから投資する世代は「上がり続ける相場はない(いつかは下がる)」一方で、「下がり続ける相場はない(いつかは上がる)」ということを時間をかけて学んでいけばいいでしょう。

■投資もバラ色老後も中長期の目線で

 「上がる前」の準備をいまから始めておけば、アベノミクス相場の次にいつか株高の波が来たとき、その恩恵を逃すことはなくなります。これは、いまのアベノミクス相場に慌てて飛びついて失敗するより大事なことだと思います(ただし投資の経験はしておく方がいいので、いまは少額でチャレンジするとよいでしょう)。

 「次の上げ相場」を考えるなんて、ずいぶん遠い話のような気がします。しかし、それくらい中長期の目線を持てるようになれば、バラ色老後づくりにも役立つでしょう。

 もし、いまから投資をスタートするのであれば、3月26日付「バラ色老後へ初めての投資 積立投信で実践しよう」を参考にしてみてください。

 「アベノミクスがバラ色老後に与える影響」について考えてきた5月の最終回として、来週はインフレを取り上げます。アベノミクスが目指す政策の一つですが、40歳より若い人はインフレに対する実感がほとんどないと思います。バラ色老後に与える影響が深刻なインフレにどう向き合えばいいのか、対策を考えてみたいと思います。お楽しみに。

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