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米国では考えられないアシアナ航空の事故対応の悪さ

米国では考えられないアシアナ航空の事故対応の悪さ
ウォール・ストリート・ジャーナル7月10日(水)
 米サンフランシスコ空港で韓国アシアナ航空機が事故を起こしてから同社の尹永斗
社長がスタッフとともに現地に向かうまで3日かかった。到着後は関係者に謝罪し、
米連邦当局者らに会い、徹底した調査を求めるとみられる。
 しかし、社長の遅い現地入りや広報の専門家を雇わないとの同社の決定は、ほとん
どの企業が事故発生と同時に素早く危機管理モードのスイッチを入れる米国では、問
題視されている。
 同社長は事故発生後、まだソウルにいた時に、パイロットの経験に関する説明とと
もに、何度か公に謝罪をした。しかし、同社は米国向けにはほとんど声明を発表せ
ず、韓国以外でメディアに対する広報担当者も置かないことにした。同社は、危機管
理を手助けしようとする広報支援会社からの申し入れも、関心がないとして断ったと
いう。
 その対応について尋ねられた韓国のアシアナ代表者は「社のイメージを保とうとす
べき時ではない」と語った。
 同社のやり方について、多くの米国の危機管理コンサルタントは考えられないと言
う。米国企業は問題が出てくるはるか以前に、複雑なプランをまとめたり狙いを定め
たメッセージを発信したりするために専門家の支援を仰ぐ。
 航空機事故のあとの企業の対応の仕方は、手続き的な面からも感情の面からも悪夢
のような作業となる。航空会社は当初は乗客や記者に与えるべき情報をほとんど持っ
ていない。多くの旅客は事故に関する多くのテレビ放送を見ながら自分たちで判断す
る。ソーシャルメディアは誰でも不満を簡単に発信できるようにした。通常はその後
に何年もかかる恐れのある訴訟が待っている。
 航空会社や旅行会社と危機プランについて仕事をした経験のある米国の危機管理コ
ンサルタントのジョナサン・バーンスタイン氏は、アシアナは今度の事故で茫然自失
の状態になったようだと語った。同氏は「アシアナは迅速に対応すべきだったが、そ
の用意ができていなかった」と指摘した。同社は7日の事故の数時間後に、自社サイ
ト上で事故を告知し、英語版も作った。だが、その後に出した情報は3本だけだ。
 米運輸安全委員会(NTSB)の元マネジングディレクターで、現在は安全・危機コ
ミュニケーションのコンサルタントをしているピーター・ゲルツ氏は、同社が事故後
に乗客の家族らのための通話無料の電話を設置するのに「大変な時間」がかかったと
指摘した。この措置はNTSBが求めているものだ。
 米国の大手航空会社は詳細な危機プランを準備し、これを実行するフルタイムの
チームを置き、従業員はいつでも対応できるように訓練を行っている。大規模空港も
訓練を実施しており、これには航空会社も参加する。航空会社は、従業員向けに危機
時の支援とカウンセリングの訓練を施し、事故時にコミュニケーション面での支援を
得るために外部の広報面の危機管理の専門家と契約している。
 韓国国土交通省によると、同国では政府が年に2回、緊急対応訓練を行っている。
航空会社と空港もこれに参加し、テロ攻撃、火災、航空機墜落などの緊急時への対処
を訓練する。
 米航空会社は、1996年に航空事故家族支援法が議会を通過したのを受けて、航空機
事故での死者や負傷者の家族に直ちに連絡を取ることが義務付けられている。内外の
航空会社はこの法律に基づいて、死者・負傷者の家族を支援する詳細なプランについ
て定期的にNTSBに報告しなければならない。
 NTSBの事故支援部門のチーフ、ポール・スレジク氏は「NTSBはアシアナが義務を守
れるように同社と協力している」と述べた。
 同社が乗り入れている米国の都市はサンフランシスコを除いて五つにすぎない。米
国でのプレゼンスが弱いことから同社は事故後は提携先のユナイテッド・コンチネン
タル・ホールディングスに多くの面で依存している。ユナイテッドは数百人の従業員
を派遣し、サンフランシスコ空港内のユナイテッド・クラブをアシアナ乗客の緊急支
援用に開放し、けがをした乗客が収容されている病院に職員を送り込んだ。また、ア
シアナ乗客のためにホテルの部屋を用意し、乗客とその家族が新たな便を予約するの
を支援している。こうしたホテル代や家族らがサンフランシスコに行く運賃はアシア
ナが負担している。
 ゲルツ氏は、アシアナは、今回の鈍い対応によって欧米の旅客の間で評判を落とす
公算が大きいが、経営陣が今からでも迅速に動けば「まだ間に合わなくはない」とし
ている。
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米当局、アシアナ航空事故機パイロットを聴取―英語力が支障に
ウォール・ストリート・ジャーナル7月10日(水)
 サンフランシスコ国際空港での韓国アシアナ航空機事故について、米事故調査当局
は8日から、原因究明のため同機のパイロットに対し事情聴取を続けている。しかし
関係筋によれば、英語力に限界があるため、聴取が順調に進んでいないという。
 米調査官たちは8日、パイロットの事情聴取にほぼ10時間費やした。だが同筋によ
ると、6日の事故発生当時にコックピット内部で何が起こっていたのかという最も重
要な点については9日まで聴取できなかった。
 米運輸安全委員会(NTSB)は8日から、通訳の助けを借り、韓国の事故調査官の同席
の下に、事故を起こしたアシアナ航空214便に搭乗していたパイロット4人のうち3人
への事情聴取を開始した。事故機は、余りに低空かつ低速で着陸しようとしたため、
空港の滑走路手前の海壁に尾翼部が接触し、機体もその直後ばらばらに分解した。乗
客2人が死亡し、多数が負傷したが、パイロットたちはいずれも無傷だった。
 パイロットに対する事情聴取は9日も継続したが、関係筋によれば、翻訳(通訳)
を正確なものにするため非常な努力を払っているという。
 事故発生当時に操縦桿を握っていたLee Kang-guk氏は9日に事情聴取されたが、同
型機の飛行経験はわずか43時間しかなかった。同型機でのサンフランシスコ国際空港
の着陸も初めてだった。同氏は他の機種の旅客機では豊富な飛行経験がある。
 長年777型機の操縦経験のあるLee Jeong-min氏を事情聴取した。関係筋によれば、
同氏はトレーニングキャプテン(教官機長)としては初飛行だったという。
 調査の謎は、なぜ2人のパイロットが衝突のわずか7秒前まで飛行機が著しく減速し
ていることを議論しなかったのかという点だ。このことはボイスレコーダー(音声記
録装置)の記録から判明している。この時までに飛行機は急速に降下しつつあり、最
終着陸進入態勢のためにコックピットクルーが選択していたスピードよりも毎時約30
マイル(約48キロ)も遅く飛行していた。
 パイロットや安全専門家たちによれば、大半の航空機は、高度1000フィート(約30
メートル)ないしそれ未満に降下した時、速度があらかじめ設定していた目標から時
速10ないし12マイル外れている場合は、アプローチ(着陸進入)を中止し、エンジン
出力を増して機体を上げるよう義務付けている。
 パイロットの事情聴取の進展状況について、NTSB広報担当官は「コミュニケーショ
ンの誤りが一切ないようにするため、ゆっくり進めたい」と語った。
 NTSBのデボラ・ハースマン委員長は9日、CNNテレビに対し、事情聴取は「極めて順
調に進んでいる」と述べ、「パイロットたちと面会して、彼らが何を考えているのか
理解したい」と語った。同委員長はそれ以上詳細に明かさず、NTSBはコメントを避け
た。
 関係筋によると、調査対象となっている問題に関してアシアナ航空が繰り返し公式
に発言していることをめぐってNTSBと同航空との間で不協和音が生じており、これが
米当局の調査を一段と複雑にしているという。
 事故調査の初期段階で通常行っているように、NTSBはアシアナ航空幹部に対し、こ
のような発言をしないよう要求した。だが、アシアナ航空は調査官の正式データが公
表もされていないのに、ボーイング777型機のエンジンが適切に動いていたかに関す
る同航空の見解などを公にした。
 米調査官と話した関係者2人によれば、NTSBはアシアナの発言を制御できないこと
にいら立っているという。NTSBの広報担当官は「われわれは情報公開に関してアシア
ナ航空と協調している」と述べている。

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