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早期退職の誘惑 50代でも早まってはいけない

早期退職の誘惑 50代でも早まってはいけない
資産運用アドバイザー 尾藤峰男氏

2014/1/24 7:00

 勤務先が早期退職者を募集しています。すでに住宅ローンは完済し、子どもも独立しているので応募して早めにリタイアしようかと思っていますが、夫婦2人の老後の生活は大丈夫でしょうか。(東京都、男性、57歳)

 大半のサラリーマンは50歳代後半になればキャリアの先行きが見えていますから、早く第二の人生を始めたい気持ちは分かります。しかし老後の生活費を考えれば早期退職には相当に慎重であるべきです。57歳男性の退職金は大企業の平均的水準である2千万円、年金は65歳から夫婦で年280万円、再就職はしないという前提を置いて試算してみましょう。

 生命保険文化センターの意識調査では、夫婦2人の老後の生活には最低でも月22万円が必要で、ゆとりある生活には月35万円かかるという結果が出ています。夫婦とも95歳まで長生きすると仮定して65歳から20年間は月35万円、その後の10年間は月22万円で生活すると、30年間で1億1040万円かかり、年金収入だけでは3千万円近くが不足する計算になります。

 病気や介護、自宅リフォームなども想定して別途、約1千万円は準備しておきたいですから、65歳時点で夫婦で4千万円近くの蓄えが必要になります。57歳で早期退職するなら、これに年金満額受給開始までの8年間の生活費も上乗せされますから、一定期間は年金が一部支給されるにしても、退職金のほかに5千万円くらいは金融資産がなければ踏み切らないほうがいいでしょう。60歳前のリタイアは厚生年金の支給額にも影響します。

 年収はピークを過ぎていても、子どもが独立しているなら60歳までは老後資金をためる最後のチャンスです。早期リタイアしたら時間を持て余したという人も多いですから、よほどの計画がない限り年金を満額受給できる65歳まで働くのが無難でしょう。実際、総務省の調査によると2012年の60~64歳の男性の就業率は71.3%と10年前に比べて7.3ポイントも上昇しました。

 年金の支給額は物価ほど上昇せず、実質的に目減りする公算が大きいとみられます。支給額が減額される可能性もあります。リタイア時点でどれだけ金融資産があるかで老後の生活が左右されることを肝に銘じておきましょう。

尾藤 峰男(びとう・みねお)
 ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)。びとうファイナンシャルサービス代表取締役。早稲田大学法学部卒。大手証券で法人営業や海外現地法人に勤務し、独立。金融機関から独立した立場で、個人の金融資産運用の助言業務を手がける。雑誌などへの寄稿やテレビにも出演。著書に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」(日本経済新聞出版社)。

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