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2014年5月

トヨタの「人づくり」が通じない 新興国の壁 トヨタ自動車

トヨタの「人づくり」が通じない 新興国の壁 トヨタ自動車(下)
ナカニシ自動車産業リサーチ代表 中西孝樹

「1000万台を超える未知の世界で持続的に成長を遂げるためには、人材育成と同じスピードで成長し、身の丈を超える無理な拡大を絶対に避ける『覚悟』が必要」――。5月8日の決算発表で、豊田章男社長のこの発言が印象的でした。屋久島の杉のごとく、「年輪」を重ねるような持続的な成長を人材育成のペースと合わせて目指す考えのようです。

インドでは苦戦(5月、インド・ムンバイのトヨタ販売店)

インドでは苦戦(5月、インド・ムンバイのトヨタ販売店)

 堅実さを肝に銘じた経営方針はトヨタ本来の姿であり、その心構えを、社員を含めステークホルダーに向けて発信することへ異論はありません。ただし、次の成長という高みを目指すことが、組織の活力の維持には不可欠だと考えます。トヨタは国を背負い、様々な社会的要求に応え続ける宿命にあるのであれば、真の競争力に裏付けされた持続的成長を満足いく形で実現せねばならないのです。

■中国、インド苦戦なぜ

 トヨタ自動車がグローバルで成長していくためには、第一に新興国市場で競争力を確立すること。第二に先進・先端技術で競合メーカーを凌駕すること。第三に、お家芸とも言える「ものづくり」の力を維持しつつ、ライバルに勝つコスト力に磨きをかけることが必要だと考えます。この大きなブレークスルーとして2015年に導入されるトヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャ(TNGA)と銘打った新しい設計概念に基づくプラットホーム(車台)戦略があります。また、同時に次世代ハイブリッドシステムも導入する計画です。先進国における競争力強化は、これらの次世代技術に磨きをかけることで相応の効果が期待できます。

中西孝樹氏

中西孝樹氏

 ところが、最も高い成長ポテンシャルがある新興国では、トヨタの地位はまだまだ満足のいく姿を示せていません。初めて自動車を購入する人が多くを占める新興国では、低価格の「エントリーカー」分野で競争力ある製品が不可欠で、低コスト生産のノウハウが競争力を左右します。しかし、トヨタは中国、インド、ブラジルといった新興国で成功しているとは言い難い。なぜ、トヨタは出遅れたのか、遅れを取り戻す条件は何なのでしょうか。

 トヨタの新興国ビジネスには、トヨタが得意とする「人づくり」の経営が思ったような成果を生み出せないジレンマがあるようです。トヨタの経営システムの根幹をなす「人づくり」とは、同等の価値観を共有し、「トヨタウェイ」を実践する社員を育成すること。トヨタでは仕事の半分以上が後進教育のための時間とも言われ、どれだけ人を育てたかで出世が決まるとも言われています。この「人づくり」経営は、タイやインドネシアなどの東南アジア、そして米国では見事に強さに結実することができました。特に、20年近くも時間を掛けながらも、米国で高い成功を収めたことにトヨタは大きく自信を深めたと考えられます。

■「親切すぎる」トヨタ

 ところが、中国やインドではなかなか人が定着しない。これはなぜなのか。誤解を恐れずにいえば「トヨタが親切すぎるから」です。トヨタと同等の価値観を共有した現地化を推進するためには、現地社員やマネジャーをしっかり教育する必要があります。トヨタは日本人社員を送り込んで、徹底的に教えこもうとします。

中国では「トヨタウェイ」が浸透しにくい(北京国際モーターショーのトヨタブース、共同)

中国では「トヨタウェイ」が浸透しにくい(北京国際モーターショーのトヨタブース、共同)

 日本なら「面倒見がいい」と好意的に解釈されるでしょうが、例えば中国では「いつも日本人社員が上にいる。風通しが悪く、出世が遅れる」と否定的に見る社員が少なくないのです。割り切って、さっさと現地に任せてしまう独フォルクスワーゲン(VW)などとは対照的です。

 海外の異文化に「トヨタウェイ」を浸透させることは非常に困難で、それは理想論であるのかも知れません。しかし、トヨタは愚直に何年もの時間を掛けながらそれを理解し、会得していく社員を一人でも増やそうと努力をする会社のようです。

 凄まじいスピードで成長し、かつ変化を遂げる新興国市場において、「人づくり」を経営の中核におくグローバル化が成功できるか否か、今後のトヨタを占う上で非常に重要となってきそうです。現実には、トヨタ的な「人づくり」がうまくいかない地域・国というのはあるのかもしれません。その典型は、中国、インドではないでしょうか。

 トヨタは出遅れた国でゼロベースから分け入っていくビジネスが不得意のようにも映ります。アメリカとアジアの成功には、商用車「ハイエース」やピックアップトラックのような根本的な成功体験がありました。そのような成功体験がある国をガンガン攻めるのは得意のようですが、インドのように不得意な市場はなかなか軌道に乗らない。トヨタの経営システムは柔軟性にやや難点があるのかもしれません。

 これを打開し、新興国での競争力を高めるには、グループの軽自動車メーカー、ダイハツ工業を活用するのが有効と考えられます。新興国ビジネスを担当する「第2トヨタ」を率いる伊原保守副社長はダイハツの活用をはっきりと打ち出しています。

ダイハツとの協業が新興国開拓のカギ(ダイハツがインドネシアで発売した小型車「アイラ」)

ダイハツとの協業が新興国開拓のカギ(ダイハツがインドネシアで発売した小型車「アイラ」)

 ただ、ダイハツとの協業の必要性は昔から指摘されているのに、なかなかうまくいかない。これはなぜなのか。

 トヨタはもともと自前主義が強いので、ダイハツに任せきるという行動をなかなか取れなかったことがひとつの要因としてあります。また、ダイハツの経営資源が限られていたという問題もありました。さらに、トヨタ社内で「ダイハツ様」と揶揄(やゆ)されたほど、ダイハツのプライドが高かったことも要因です。しかし、両社の協業は新たなステージに向かい、「第2トヨタ」躍進の原動力のひとつとなりそうです。

■パワートレイン刷新でライバルに後れ

 インドネシアではトヨタとダイハツの協業は大変うまくいっており、現地の低価格エコカーの市場で主導権を握っています。「ガラパゴス軽自動車(ガラ軽)」と揶揄される日本の軽自動車の生産・開発ノウハウをうまく活用していることが要因です。この低コストモデルは世界展開の可能性があります。インドネシアの次はタイ、インド。その先に中国、ブラジルなど多くの新興国への展開もあり得るでしょう。トヨタが新興国をターゲットにする新ブランドを立ち上げるシナリオも考えられます。

 先進・先端技術で競合メーカーを凌駕することは一見トヨタのお家芸ですが、実はハイブリッド成功の陰で、従来型のパワートレイン(エンジンなど駆動系)やモジュールを多用する先進的なプラットホームの刷新で出遅れたことは否めません。ハイブリッド技術ではトヨタはライバルを大きく引き離しているのは誰もが認めるところです。しかし、内燃機関そのものの強化、例えばエンジンの直噴化、高効率化、小排気量過給(いわゆるターボ)などの導入などで遅れています。ハイブリッドで成功しすぎたトヨタにやや慢心があったうえ、リーマン・ショック後の大幅赤字で守りの経営を迫られたため、対応が遅れたのです。

トヨタは中国へハイブリッド(HV)技術の移転を急ぐ(中国江蘇省にあるトヨタのHV研究開発拠点、共同)

トヨタは中国へハイブリッド(HV)技術の移転を急ぐ(中国江蘇省にあるトヨタのHV研究開発拠点、共同)

 ライバルは内燃機関の刷新でどんどん先を行きます。欧州メーカーはもちろん、国内メーカーでもホンダはガソリンエンジンの直噴化を完了し、小排気量過給エンジンもサイズごとにそろえる段階に来ています。トヨタが同様のレベルに達するには2018年頃までかかるでしょう。しばらくは旧世代のパワートレインで世界のライバルと戦わないといけないわけです。

 ハイブリッド比率の高い日本市場では競争力を落とすことはないでしょう。しかし、日本以外の市場で、ハイブリッド一本で戦えるかどうかは疑問です。米国と中国では小排気量過給エンジンの存在感が急速に増しているからです。

■中国での成長の切り札とは…

 特にトヨタにとって、中国は厳しい戦いになる懸念があります。中国はハイブリッド車に補助金を出すとも伝えられていますが、まだ不透明です。環境問題と国家安全保障問題を抱える中で、短期間で加速度的に燃費を改善するには、多くのメーカーがメリットを受けやすい小排気量過給エンジンの普及に弾みをつけるのは当然だと考えられます。現在、中国でのターボエンジン比率は15%程度と言われていますが、2020年には50%まで上昇する可能性があります。

 トヨタは知的財産権(IP)を中国に残す形で中国とハイブリッドシステムを共同開発し、補助獲得とコスト削減を実現し普及に弾みを付けようとしています。これがトヨタの中国での成長の切り札となりえます。中国としてもハイブリッドのIPを手中にすることは魅力的であり、軌道に乗れば中国でハイブリッドが市民権を得られる可能性があります。

 ハイブリッドを世界の主流に育成することは単にトヨタの成長のみならず、日本のものづくりの維持にもつながることです。トヨタの掲げる「国内300万台生産」を維持するには、日本から輸出しても儲かる付加価値の高いクルマを生みだすことが必要です。世界でハイブリッドが受け入れられる時代には、現地生産化もどんどん視野に入ってくるわけで、トヨタは更に先端の技術革新に取り組むでしょう。2015年にも市販予定の燃料電池車はその最有力候補です。ハイブリッドから燃料電池車へリレーされることで、国内生産も維持できるわけです。このようにグローバルで成長し、技術開発で先行して初めて、トヨタは国を背負い様々な社会的要求に応えることができるのです。

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LCC業界で白熱 パイロット確保めぐり“仁義なき戦い

LCC業界で白熱 パイロット確保めぐり“仁義なき戦い”

 格安航空会社(LCC)業界がすごいことになっている。
ピーチ・アビエーション に続いて、今度はバニラエアが6月に全便の2割を欠航させることを発表したのだ。 同社は成田と台北、ソウルをつなぐ国際便のほか、成田と札幌、那覇を飛ぶ国内便を 運航している。月に合計720便。そのうち国内便の一部の154便を取りやめるの だ。理由はパイロット不足である。 「パイロットは28人いましたが、そのうち2人が3月に退職し、5月末にもう1人 退職する予定です。そのため欠航を決めました。7月はANAからパイロットに出向 してもらうので、便数は戻ります」(同社広報担当者)
 10月までに最大2000便を欠航させると発表したピーチも「パイロットを確保できない」という理由だった。なぜパイロットが足りないのか。 「パイロットの奪い合いが起きているからです」とは航空関係者だ。 「便数が増えたのに、パイロットの数が変わらないので、どの会社も焦り気味です。 とくにJAL傘下のジェットスター・ジャパンは現在の成田空港のほかに関西空港を 第2拠点にして業務を拡張しようと狙っている。ひとりでもパイロットを増やした い。そこでライバル社のピーチ、バニラのパイロットを“高給優遇”のおいしい条件 を突きつけて引き抜こうとしているのではないか、というウワサまで流れています」
■持参金200万円で引き抜き  たしかに、JAL傘下のジェットスターだけは、パイロットを十分に確保してい る。  当のジェットスターは「たしかに他社から転職してくる人はいますが、引き抜きは していません」とウワサを否定する。
 とはいえ、航空業界がパイロット不足で四苦八苦しているのは事実。LCCのパイ ロットが200万円の持参金を積まれて、ライバル会社にヘッドハンティングされた という報道もある。 「いまや航空会社にとって、パイロットの確保は会社を存続させるための生命線。仁 義なき引き抜き合戦は過熱する一方です」(前出の航空関係者)
 空の安全が心配になってくる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピーチ、7~8月に894便欠航 2014年5月20日(火)共同通信
 格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは20日、パイロット不足のため、7~8月に全体の約2割に当たる894便を欠航すると発表した。中途採用の訓 練生の退職により確保できない機長の数が増え、欠航数はこれまでの見込みより56 便増えた。
 夏の繁忙期の大幅減便となることが確定した。利用者の信頼低下は避けられず、経 営への影響が一段と懸念されそうだ。
 機長を務める予定だった訓練生2人が5月上旬に退職したため、那覇―台北線の一 部が欠航を迫られた。
 このほか関西と札幌(新千歳)、仙台、成田、松山、福岡、鹿児島、那覇、香港を 結ぶ各路線、那覇―石垣線が影響を受ける。

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機長不足ピーチ約30億円の減収

ピーチ、5-10月の欠航が56便増えて2128便に 訓練生の退職で
産経新聞 5月20日(火)
 格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは20日、機長不足を理由に5
~10月に欠航する便数が最大2128便に増えると発表した。従来は最大2072
便としていたが、機長として乗務予定だった訓練生2人が5月上旬に退職した影響で、8月に那覇-台北線で56便が追加で欠航するという。
 最大2128便のうち、すでに確定済みの5~6月の448便に加え、今回は7~8月の894便の欠航が確定。レジャーや帰省など夏の繁忙期での大量欠航となる。
 9~10月も786便が欠航する可能性があるとしており、7月上旬までに欠航便数を確定させる。
 ピーチに在籍する機長の数は現在55人。このうち8人は依然として病欠で、4月28日に那覇空港付近でピーチ機が海面に異常接近するトラブルが起きた際の外国人機長も乗務から外れており、稼働可能な機長の数は46人という。
 機長訓練生2人が退職した理由について、ピーチの遠藤哲総合企画部長は「個別の事情による」として詳細を明らかにしなかった。今後の機長の確保策については「日本人や外国人で積極的な採用を進めるほか、社内で一定経験を積んだ副操縦士からの昇格により、拡充に努める」とした。
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ピーチ、イメージ悪化と機長不足の“ダブル・パンチ”で顧客離れも 産経デジタル0501
28日に那覇空港着陸寸前に海面に異常接近する問題を起こした格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション。大手航空会社の半額以下という格安運賃を武器に支持を集めてきたが、機長不足による大量欠航に続く、イメージ悪化の“ダブル・パンチ”で顧客離れも懸念される。
 ピーチは30日、5月19日から10月25日までの欠航が最大2072便になると発表した。今月24日時点では最大2088便としていたが、「一部の欠航の可能性のある便の見直しをした結果、16便減った」(遠藤哲・総合企画部長)という。
9~10月に関空-ソウル線での欠航想定を取りやめる一方で、同時期に関空-香港線で新たな欠航を見込むなどした。
 欠航が最大2072便となった場合、影響を受ける乗客数は最大2万7209人、約30億円程度の減収を見込んでおり、経営への打撃は大きい。ピーチは平成28年度に年間600万人の利用者を目指すが、大量欠航に追い込まれた背景には拡大競争を繰り広げるLCC業界での人材の奪い合いがある。
 ピーチは運賃に加え、欠航の少なさや独自サービスも高い支持を集め、LCCの「安かろう、悪かろう」のイメージを払拭したが、その売りの1つが今回の大量欠航で大きく揺らいだ。
 ピーチによると、異常降下のトラブル発生後、「大規模なキャンセルの動きや利用者からの問い合わせはない」という。とはいえ、最も重視すべき安全面でのトラブルは利用者のイメージ悪化を招きかねない。
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ピーチ利用、前年から5割増 異常降下後も「目立つキャンセルなし」 産経デジタル0507
 関西空港を拠点とする格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは7日、ゴールデンウイーク期間(4月25日~5月6日)の利用者数が国内線と国際線を合わせ前年同期比50%増の約13万5千人だったと発表した。
 期間中の4月28日には那覇空港付近の海上で機体が異常降下するトラブルがあったが、同社の担当者は「目立った予約キャンセルなどの動きはなかった」としている。
 渡航先として人気を集める台湾などへの増便が影響し、特に国際線は前年比84%増の3万6751人だった。
 同社はすでに、病欠が相次ぎ機長を確保できないとして、今月19日~6月30日の448便の欠航を発表。7~10月にかけさらに1624便を欠航する可能性も明らかにしている。

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消える明かり 「すき家」、バイト反乱で営業不能

消える明かり 「すき家」、バイト反乱で営業不能

 景気低迷に覆い隠されていた日本経済の弱点が、白日の下にさらされた。労働力の供給が細る中、景気が回復して構造的な人手不足が露呈している。その影響をもろに受けたのが、牛丼チェーンの「すき家」。店舗が相次いで営業時間の短縮や休業に追い込まれた。人手が足りない上に業務量の増加が追い打ちをかけ、アルバイトが逃げ出した。多くの小売りや外食企業に、採用難の問題は野火のように広がる。

 それは異様な光景だった。

 4月中旬の午後7時、東京都世田谷区にある牛丼チェーン大手の「すき家」桜新町駅前店。周囲の飲食店やコンビニエンスストアの照明が煌々(こうこう)と夜空を照らす中、この店だけは電気が消え、暗闇の中に沈んでいた。もちろん本来は年中無休・24時間営業の店舗だ。

 「本日の営業は終了しました。申し訳ございません」。入り口の自動ドアに目を凝らすと、殴り書きのような貼り紙の文字が浮かび上がった。

すき家だけが閉店。東京都世田谷区にある「すき家」桜新町駅前店。年中無休・24時間営業であるはずが、書き入れ時の夕食時には閉店していた(写真 大槻純一)

すき家だけが閉店。東京都世田谷区にある「すき家」桜新町駅前店。年中無休・24時間営業であるはずが、書き入れ時の夕食時には閉店していた(写真 大槻純一)

 飲食店が1日で最も繁盛する夕食時で、人通りが多い好立地。牛丼を好みそうなサラリーマンや学生らしき人が次々に通り過ぎる。にもかかわらず、この店舗は営業していない。実は2014年3月以降、全国各地のすき家で、同じような異変が相次いで起きている。

 原因は人手不足だ。すき家の店舗には正社員はほとんどおらず、アルバイトが運営を担う。店員を確保できず、約2000の店舗のうち、一時は123店が、閉店や営業時間の短縮に追い込まれた。

 「近所のすき家、人手不足で閉店しているよ」。3月頃からツイッター上では店舗の貼り紙の画像とともに消費者のつぶやきが飛び交い始めた。「ほかの店舗が24時間営業を諦めたなら、うちだって止めたい」。ツイッターで情報が拡散するのに従い、営業時間を短縮する店舗がドミノ倒しのように増えた。

 なぜ店員が足りなくなったのか。景気回復でアルバイトの採用が難しくなる中、2014年2月に発売した「牛すき鍋定食」が引き金を引いた。店舗ごとに牛肉を煮て、野菜や豆腐などの具材を切り、1人前ずつ小分けし冷蔵庫で保管するなど仕込みに手間がかかる。

 トータルの仕込み時間は、牛丼の15分に対し、牛すき鍋は1時間かかるという。「本部からは20分でできると言われたが絶対無理」。東日本のすき家の店舗で働くアルバイト店員の石川康子さん(仮名)はこう断言する。

 すき家の売り物は、「吉野家」などの競合と比べて豊富な約30種類ものメニュー。メニューが多いと当然、店員への負荷も高まる。そこに、手間がかかる牛すき鍋が加わった。アルバイトを増やそうと募集しても集まらない。

 「もう限界」。鍋メニューの投入で不満が爆発し、すき家を去るアルバイトが相次いだ。「忙しさに耐え切れなくなって辞めていく。私が働き続けるのは、店の仲間に迷惑をかけたくないだけ」。前出の石川さんはこう話す。

 集客につながる上、単価が牛丼(並盛で税抜き250円)の2倍以上になるからと、新商品を導入した経営陣。現場の負荷がどれだけ高まるかを十分考えなかったことが、バイトの離反を招いた。

 「鍋の乱」。すき家の営業時間の短縮・休業はインターネット上などでこう呼ばれている。

■“ワンオペ”では、トイレ休憩もままならない

 実は鍋の乱以前にも、すき家の店員が不満を募らせるメニュー改定があった。2014年1月にメニューを拡充した朝定食だ。ご飯やみそ汁のほか3つの小鉢が付く。牛丼と比べて、洗い物が多く業務量が増えた。「何とかやりくりしていたのに、さらに面倒な鍋メニューが増えた」。首都圏のすき家店舗で働く近藤和也さん(仮名)はこう嘆く。

 鍋メニューは、吉野家が2013年12月、すき家に先駆けて投入した。鍋は、50代など新しい顧客層の開拓に寄与。客単価も上昇し、吉野家ホールディングスは2014年2月期、前期比16%の営業増益を確保した。各店に、社員1人を含む最低2人の店員を配置する吉野家では、バイトの離反は見られない。

 2014年2月に牛すき鍋定食を投入したすき家も、鍋がけん引役となって既存店売上高が30カ月ぶりに前年同月を上回った。しかし、現場の悲鳴を受けて、すき家は準備していた新しい鍋料理の投入を断念。3月いっぱいで鍋メニューの休止に追い込まれた。

 そもそも、相次ぐメニュー改定の前からすき家のバイトは激務で知られていた。とりわけ過酷なのが、1人で勤務する「ワンオペレーション(ワンオペ)」だ。会計から掃除、接客、洗い物、仕込みまでを1人でこなさないといけない。ゼンショーは、売り上げが一定の水準に達しない店舗にワンオペを導入し、コストを徹底的に抑えて利益を確保してきた。

 「厨房や店頭を離れられず、トイレ休憩さえままならない。バイト中、喉は渇くが水分を控えている」(近藤さん)

 ワンオペは店舗運営のコストを抑えられる一方で、防犯が手薄になる。これに目を付けた強盗が相次いだため、2011年には社会問題となった。

 警察庁の指導を受けたすき家は、防犯設備の増強とともに、採用を強化。人員を増やすことで一時ワンオペの店舗数を2割弱までに減らした。しかし、バイトが相次いで逃げ出した今では、事件発生時と同じ5割程度の店舗がワンオペで運営している。

 店員が逃げ出す中、石川さんの忙しさは極限に達している。4月だけで25日間働き、勤務時間は300時間を超えた。勤務表には「0~14」という文字が並ぶ。午前0時から午後2時まで、14時間ぶっ通しで働くことを意味する。

 昼夜が逆転しているため帰宅後もなかなか寝付けず、睡眠薬を服用し無理やり、数時間眠る。家事やペットの世話をこなすと出勤時間になり、また夜通し店に立つ。過酷な勤務で体調が悪化し、3つの病院に通う。勤務時間を減らしたいが、代わりの人はいない。ほかの職を探す時間も気力もない。

 この忙しさに、「パワーアップ工事」が追い打ちをかけた。同工事は、厨房などを改装し顧客満足度を高めるためとして、全国で実施されている。中には、6月まで閉める店舗もある。「人が足りないので苦し紛れに『工事中』としている店も多い」。3月までアルバイトとして働いていた白河達彦さん(仮名)はこう証言する。

 白河さんが勤めていた店の近隣にはすき家が6店舗あったが、3店舗はパワーアップ工事中。このため営業中の店舗にお客が集中し、より忙しくなった。「パワーアップしてほしいのは店ではなく人手。でも本部は分かってくれない。だから辞めた」(白河さん)。

 すき家のアルバイト店員が集まらないのは時給が安いからではない。むしろ近隣のコンビニエンスストアや飲食店よりも高い場合が多い。

 冒頭に紹介した桜新町駅から2駅先にある三軒茶屋駅。商店街に並ぶ店は、どこも軒先でアルバイト募集の貼り紙を掲げている。時給は多くの店舗で1000円を超えるが、その中でもすき家は1250円(深夜)と高い部類に入る。都内では時給が1600円(深夜)を超える店舗すらある。だが「時給が高い働き口は、ほかにたくさんある中で、強盗に遭う可能性も否定できないすき家で働く理由はないでしょうね」と前出の石川さんは諦め顔でこう話す。

■本社は店員不足の深刻さに気付かず

 「まさかこんなことになっているとは…」。3月上旬、すき家の本社では、各地から上がってくる店員不足に関する報告を聞いた経営陣が頭を抱えた。これほど深刻化するまで、本社は正確に状況を把握できなかったのだ。

 この反省を踏まえ、すき家は2014年6月に全国7つのエリアに分社化する。現場の情報を迅速に把握する体制を整えると同時に、従来は本社決済を経ないと決められなかった時給や手当の支給、勤務形態の変更などの権限を、各エリアのトップに移管する。

 さらに5月、久保利英明弁護士を委員長とする第三者委員会を設置した。第三者委員会の報告を待って、労働環境の改善にも乗り出す。

 現状や今後の対応について、経営トップはどう考えているのか。すき家を運営するゼンショーホールディングスの小川賢太郎社長に再三取材を申し込んだが、「第三者委員会に任せているので、現時点で私が答えることはない」と、応じることはなかった。

 「すき家は特殊な事例」。そう受け止める人も少なくないだろう。だが、多くの小売り・外食企業も深刻な人手不足に直面している。パート・アルバイトに無理を強いる経営は、もはや継続することが困難になりつつある。鬱積する非正規の不満が、多くの企業に戦略転換を迫っている。

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アジア移住で資産運用 リスクに勝るか成長果実

アジア移住で資産運用 リスクに勝るか成長果実

「もう一度言いますよ。利回りは年8%超です」。4月16日、マレーシアの首都クアラルンプール。オフィスビルの一室は冷房がキンキンに効いているにもかかわらず、熱気に包まれていた。まくし立てるように金融商品を売り込むマレーシア人と、真剣に聞き入る日本人。開かれていたのは「日本人移住者向けの資産運用セミナー」だ。

 8%超の商品とは、需要拡大が続くパーム油の売り上げを裏付けとする証券化商品。パーム農園を経営する現地企業が資金調達のために開いたセミナーだった。元商社マンで、マレーシア生活が3年目に入った佐々木一男さん(76)が目を輝かせながら語る。「高成長が続くこの国には資産運用のチャンスがゴロゴロと転がっているんだ」

■増える長期滞在者

じわり広がる新たな資産運用「アジア暮らし」。専門家と日経ヴェリタス編集長が解説

じわり広がる新たな資産運用「アジア暮らし」。専門家と日経ヴェリタス編集長が解説

 浮き沈みを繰り返しながらも熱気に包まれた成長を続けるアジア。仕事以外の理由でこの地に暮らす日本人が増えている。駐在員などを除く長期滞在者は2012年10月時点で5万1000人。7年前に比べ6割近く増えた。

 とりわけ移住者を引き寄せているのがマレーシア、タイ、フィリピンの東南アジア3カ国だ。物価が低く暮らしやすいうえに、長期滞在用の査証(ビザ)制度を設けて移住者を積極的に受け入れている。この環境で可能になるのが生活費を抑えつつ、現地の不動産などに投資して成長の果実を手に入れる資産運用術。生活を楽しむ一方で、資産の運用や防衛も手がける一石二鳥型の暮らしだ。そんな移住ライフを狙う人が増えている。

 広島県で経営していた金属加工会社を3年前に売り払い、フィリピンのマニラ首都圏に越してきた佐藤謙一さん(65)も資産運用と楽しいアジア生活の二兎(にと)を追う1人だ。

 資産運用目的で3月に購入したのは、高層ビルやしゃれたカフェが整然と並ぶ再開発地区ボニファシオ・グローバル・シティに建設中の高級マンション。2年後に完成する同物件は30階建てでプール付き。10階のワンルーム(40平方メートル)を約1000万円で買った。「マニラの高級物件はほかのアジア諸国に比べて割安で、年間10%の値上がりも見込める」と話す佐藤さん。暇を見つけては次の投資物件を探すのが楽しみでたまらない。

 「ここでの暮らしは本当にお金がかからないんですよ」。タイ北部の古都チェンマイ。06年から同市と日本を行き来する森田弥栄さん(80)が言う。人口14万人の小ぶりな街だが、緑が多く、郊外には大型ショッピングセンターなどもある。適度な田舎暮らしを楽しみたい日本人にとっては心地よい場所だ。

■年金で十分豊かに

 日本で洋菓子店を営んでいた森田さん夫婦の今の月間支出は家賃も含めて約20万円。年金で十分賄える金額という。余った年金は日本で積み立て型投資信託の購入に回し、まとまったお金が必要になる事態に備えている。いわば資産を取り崩さない資産防衛型の移住スタイルだ。

 もっとも、移住生活はリスク・フリーではない。例えば高成長と裏腹の関係にある物価の上昇。ゴルフ三昧の生活をしようと札幌市内の会社を60歳で定年退職した後にクアラルンプールに移ってきた角田光男さん(63)にとって、年々上がる生活費は悩みの種だ。現在の収入は厚生年金のみ。「日本では味わえない充実した生活を楽しみたい」と言うが、「ガソリン価格が数カ月で1割上がった」のは気になってしょうがない。

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米無人偵察機、三沢に一時配備

米無人偵察機、三沢に一時配備 【共同通信0501】
 青森県三沢市は1日、無人偵察機グローバルホークが5月下旬に米軍三沢基地(同
市)へ一時配備される見通しだと明らかにした。東北防衛局から市に連絡が入った。
具体的な日時は知らされていないという。
グローバルホークは米軍がグアムで運用する無人偵察機で、地上から遠隔操作す
る。現地の台風シーズンを避けるため、5月から10月ごろまで2機を米軍三沢基地
に配備する予定。同機が国内で配備されるのは初めて。
国土交通省は、三沢基地周辺を飛行する小型機やヘリコプターの操縦者に対し、グ
ローバルホークへの注意を呼び掛ける航空情報(ノータム)を出している。

注:RQ-4 グローバルホーク (RQ-4 Global Hawk)は攻撃能力を持たない純粋な偵察機
である。
全幅:35.42m
全長:13.52m
全高:4.64m
最大離陸重量:12111kg(27万ポンド)
巡航速度:343kt
実用上昇限度:19800m(6万5000フィート)
フェリー航続距離:12,000nm

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