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アジア移住で資産運用 リスクに勝るか成長果実

アジア移住で資産運用 リスクに勝るか成長果実

「もう一度言いますよ。利回りは年8%超です」。4月16日、マレーシアの首都クアラルンプール。オフィスビルの一室は冷房がキンキンに効いているにもかかわらず、熱気に包まれていた。まくし立てるように金融商品を売り込むマレーシア人と、真剣に聞き入る日本人。開かれていたのは「日本人移住者向けの資産運用セミナー」だ。

 8%超の商品とは、需要拡大が続くパーム油の売り上げを裏付けとする証券化商品。パーム農園を経営する現地企業が資金調達のために開いたセミナーだった。元商社マンで、マレーシア生活が3年目に入った佐々木一男さん(76)が目を輝かせながら語る。「高成長が続くこの国には資産運用のチャンスがゴロゴロと転がっているんだ」

■増える長期滞在者

じわり広がる新たな資産運用「アジア暮らし」。専門家と日経ヴェリタス編集長が解説

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 浮き沈みを繰り返しながらも熱気に包まれた成長を続けるアジア。仕事以外の理由でこの地に暮らす日本人が増えている。駐在員などを除く長期滞在者は2012年10月時点で5万1000人。7年前に比べ6割近く増えた。

 とりわけ移住者を引き寄せているのがマレーシア、タイ、フィリピンの東南アジア3カ国だ。物価が低く暮らしやすいうえに、長期滞在用の査証(ビザ)制度を設けて移住者を積極的に受け入れている。この環境で可能になるのが生活費を抑えつつ、現地の不動産などに投資して成長の果実を手に入れる資産運用術。生活を楽しむ一方で、資産の運用や防衛も手がける一石二鳥型の暮らしだ。そんな移住ライフを狙う人が増えている。

 広島県で経営していた金属加工会社を3年前に売り払い、フィリピンのマニラ首都圏に越してきた佐藤謙一さん(65)も資産運用と楽しいアジア生活の二兎(にと)を追う1人だ。

 資産運用目的で3月に購入したのは、高層ビルやしゃれたカフェが整然と並ぶ再開発地区ボニファシオ・グローバル・シティに建設中の高級マンション。2年後に完成する同物件は30階建てでプール付き。10階のワンルーム(40平方メートル)を約1000万円で買った。「マニラの高級物件はほかのアジア諸国に比べて割安で、年間10%の値上がりも見込める」と話す佐藤さん。暇を見つけては次の投資物件を探すのが楽しみでたまらない。

 「ここでの暮らしは本当にお金がかからないんですよ」。タイ北部の古都チェンマイ。06年から同市と日本を行き来する森田弥栄さん(80)が言う。人口14万人の小ぶりな街だが、緑が多く、郊外には大型ショッピングセンターなどもある。適度な田舎暮らしを楽しみたい日本人にとっては心地よい場所だ。

■年金で十分豊かに

 日本で洋菓子店を営んでいた森田さん夫婦の今の月間支出は家賃も含めて約20万円。年金で十分賄える金額という。余った年金は日本で積み立て型投資信託の購入に回し、まとまったお金が必要になる事態に備えている。いわば資産を取り崩さない資産防衛型の移住スタイルだ。

 もっとも、移住生活はリスク・フリーではない。例えば高成長と裏腹の関係にある物価の上昇。ゴルフ三昧の生活をしようと札幌市内の会社を60歳で定年退職した後にクアラルンプールに移ってきた角田光男さん(63)にとって、年々上がる生活費は悩みの種だ。現在の収入は厚生年金のみ。「日本では味わえない充実した生活を楽しみたい」と言うが、「ガソリン価格が数カ月で1割上がった」のは気になってしょうがない。

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