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「社員に優しい」は買い、コスト増にも経営者自信

「社員に優しい」は買い、コスト増にも経営者自信

 日経平均株価が15年ぶりの高値を更新した株式市場で、賃金や福利厚生費を増やすといった「社員に優しい企業」が注目されている。コストを増やしても成長できるという経営者の自信の表れとしてとらえられているためだ。社員の懐が温かくなれば消費の拡大に向かい、経済全体が好循環へ向かうだけに、息の長い投資テーマになりそうだ。

 12日、8年ぶりの高値を更新した宿泊予約サイトの一休。訪日外国人観光客が増えて都内の宿泊施設の需給が引き締まり、客室単価が上昇。受取手数料が増えるとの期待が買い材料の1つだが、実はそれだけではない。

 ある運用会社のファンドマネジャーはこう評価する。「稼いだ利益を社員に還元する会社だ」。一休はアベノミクス相場が始まった直後の13年3月に社員に一律50万円の特別賞与を支給。14年4月には3%のベースアップ(ベア)を実施するなど社員に報いてきた。

 来週は全社員130人が箱根の高級旅館「強羅花壇」に泊まる初めての社員旅行を催す。総費用は約1千万円。今回は、筆頭株主として受け取る株式配当を原資に森正文社長が個人で支出するため会社の費用は増えないが、「来期の大幅増益を目指し社員の結束力を高める」(森社長)のが狙いという。


 人件費の増加は企業にとっては固定費の上昇につながるのに、買われるのはなぜか。大和住銀投信投資顧問の門司総一郎氏は「コスト増以上に企業経営者が将来に自信があることを前向きに評価できる」と話す。

 今年に入って上場来高値をつけた「長崎ちゃんぽん」で知られるリンガーハットも2~3月にかけて450人の全社員を対象にハワイで経営説明会を開いた。渡航・宿泊費用は会社で負担する。外食産業では人材不足が深刻で、福利厚生の充実で人材の流出を防ぐ。


 賃金引き上げに動く企業の株も買われている。12日、1990年7月以来、四半世紀ぶりの高値を更新した味の素は、社員の基本給を一律に引き上げるベースアップを2年連続で実施する。業種別日経平均で上昇率トップとなった保険、同3位の陸運なども賃上げに動き始めた企業が多い。

 東証1部企業全体でも興味深い傾向が浮かび上がる。3月期決算企業を対象に4~12月期に「人件費・福利厚生費」を増やした171社を対象に、昨年3月最終週に同じ額を投資したとして平均株価をはじくと、12日までに37%上昇と日経平均の29%を上回った。

 人件費を増やした結果、今期営業減益になる企業の株も買われている。タカラトミーの株価は5日、約5年ぶりの高値を更新した。

 企業のヒトへの投資で社員の懐が温かくなり「国内総生産(GDP)の6割を占める消費の拡大につながると海外投資家は期待している」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)。企業がため込んできたお金の使い道として、株主配分、M&Aや設備投資に加え、従業員への投資という「3本の矢」を企業が放つことができるのか。株高持続の条件になりそうだ。

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