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個別株より「指数買い」 年金マネーが動かす相場

個別株より「指数買い」 年金マネーが動かす相場
日本株、パッシブ運用に10兆円流入か

 日経平均株価が15年ぶりの高値を更新した先週、ひときわ輝きを示した銘柄がある。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC、証券コード4661)だ。上場来高値を連日で更新。年初からの株価上昇率は3割を超えた。

 値上げしても落ちない集客力で業績は堅調。株主還元にも積極的で2015年3月期の年間配当は前期比20円増の140円に増える見通しだ。だがPER(株価収益率)が46倍台になるまで株価を押し上げたのは、そうした個別の要因だけではない。

 「MSCIジャパン最小分散指数」――。カギを握るのがこの聞き慣れない指数に連動した買いだ。価格変動が小さく、相場下落局面でも損失が膨らみにくいよう設計された指数で、OLCの組み入れ比率は1.9%と、約150銘柄のうちエーザイ(4523)に次ぎ2番目。指数連動の買いが増えれば、自動的にOLC株への買いも膨らむ。

 この最小分散指数が注目され始めたのは昨年夏、約19兆円の資産を持つ地方公務員共済組合連合会(地共連)が同指数の採用を打ち出したからだ。その後、低リスクの運用を目指す投資家の資金が流入、武田薬品工業(4502)、花王(4452)など他の構成銘柄も大きく上げた。

 個々の企業の収益力や成長性を見て銘柄を選び抜くのではなく、指数に連動する銘柄を根こそぎ買う──。こうした「パッシブ運用」が今、株式市場を席巻している。従来の日経平均や東証株価指数(TOPIX)などだけでなく、収益性や値動きを加味した「進化した指数」のスマートベータが登場、これが指数連動の運用を加速した。

 野村証券の村上昭博チーフ・クオンツ・ストラテジストは「日本の株式市場には今後、10兆円近いパッシブ運用の資金が流入する」と予想する。その中心にあるのが、巨鯨とも呼ばれる公的マネーだ。

 137兆円の運用資金を持つ年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年末で19.8%の株式の比率を25%に高める方針。うち9割はパッシブ型の運用が占める。地共連を含む3つの共済年金も20日、GPIFと同様に株式比率を25%に高めると発表したが、パッシブ型が中心になると見られる。

 指数連動の運用拡大は世界的現象だ。モーニングスターの調べでは14年、米国で4200億ドル(50兆円)強の資金が指数連動のパッシブ型ファンドに流れ込んだ。個別銘柄に選別投資する「アクティブ型」の実に9倍だ。

 とめどないパッシブの奔流。背景には新興国を含め世界中で年金マネーの存在感が増していることがある。巨額の資金を個別銘柄で運用するのは容易ではない。指数連動の運用の方が透明性が高く説明がしやすい。

 流れを決定づけた論文が09年に出た。ノルウェー政府年金基金の資産運用を分析した結果、ファンドマネジャーによる運用成績の上乗せ分はほとんど観測されなかったという内容だ。

 「コストを含めて考えれば、パッシブ運用のほうが効率的との考えは強まっている」。証券投資理論に詳しい名古屋市立大学の臼杵政治教授は話す。パッシブマネーで思わぬ銘柄が上昇するなど、影響を踏まえた戦略が欠かせなくなっている。

 地道に企業を調査して、成長株を選んで投資するアクティブ運用は死んでしまうのか。必ずしもそうではなさそうだ。

 独自の分析で中小型株などを発掘し高収益を上げるファンドはなお多い。三井住友アセットマネジメントは今年に入り、銘柄選別を運用収益の源泉とする商品の販売を強化した。企業分析力にさらに磨きをかける。

 世界的なパッシブ運用の奔流は市場をどう変え、投資家はそれにどう対応しようとしているのか。最前線の動きを探った。

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相続財産の基礎控除額が4割減に

相続財産の基礎控除額が4割減に

 相続税は2015年1月1日から制度が改変されて増税になり、対象になる人が一気に増える。この相続問題を、年間1万件もの相談を受けている相続コーディネーターの八木美代子氏(株式会社ビスカス代表取締役)が解説する。

 最大のポイントは「相続財産のうち、この額までは相続税がかからない」という額(基礎控除額)が、4割減と大幅に減らされること。

 現行の基礎控除は「5000万円+相続人の数×1000万円」。8000万円の財産があっても、子供が2人なら7000万円までは相続税がかからず、残った1000万円にだけかかる。これが2015年1月1日以降には「3000万円+相続人の数×600万円」に引き下げられる。子供2人なら基礎控除は4200万円になるので、前と同じ例でも残りの3800万円に相続税がかかるようになる。

 相続に関連する基本用語は、円滑な相続を行うためにも知っておいて損はない。

 財産を遺そうとする人は、自らの財産をどのように相続させるかを、遺言によって自由に決めることができる。遺言では、具体的な財産を誰が取得するかを定めるだけでなく、相続分そのものを定めることができる。これを「指定相続分」という。

 しかし、すべての人が遺言をしている、あるいは遺言で相続分の指定をしているわけではない。そのため遺言がない場合、あるいは遺言によって指定相続分が示されていない場合には、法律があらかじめ目安となる相続分を定めている。これを「法定相続分」という。

「指定相続分」や「法定相続分」などの「相続分」とは、相続人が自ら主張できる権利の割合を指すのではなく、被相続人が与えた権利、あるいは便宜上法律で設定された共有持分ということができる。

 そして実際には、相続人となった人や遺言で財産の一定割合の取得を指定された人(包括受遺者)は、協議において、その与えられた権利や共有持分を主張したり放棄したりすることで、最終的にすべての遺産の取得先が決められる。その協議の結果によっては、遺言、あるいは法律の規定通りの割合で分割していなくてもよい。

 ただし、すべてが遺言で自由に定めることができるわけではない。

 配偶者や子、あるいは父母などの直系尊属が相続人の場合は、法律上取得することを保障されている相続財産の割合がある。これを「遺留分」という。その遺留分の対象者が複数いる場合に各相続人の遺留分の基準とするのが法定相続分だ。

 各相続人の具体的な相続分を算定する上で使用できる二つの制度がある。

「特別受益の持ち戻し」と「寄与分」

「特別受益の持ち戻し」とは、相続人の中で被相続人から遺贈を受け、または婚姻、養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた人(特別受益者)がいるときに、その遺贈や贈与の価額をいったん相続時の財産の価額に加えて相続財産とみなし、その価額に法定相続分を掛けたものからその遺贈や贈与の価額を控除した残額をその人の相続分とする制度だ。

「寄与分」とは、相続人の中で、被相続人の事業に対する労務や資金の提供や被相続人の療養看護などによる財産の維持・増加への貢献(寄与)をした人がいるときは、相続時の財産からその人の寄与分を控除したものを全体の相続財産とみなし、寄与した人の法定相続分にその寄与分を加えたものをその人の相続分とする制度だ。

 相続トラブルは、財産がたくさんある人の話で、相続対策は高齢になった時に考えればよいと思いがちだが、決してそうではない。若い人が不慮の事故で亡くなるケースもあるからだ。

 相続といっても、独身ならば、結果的に父母に遺されることになり、父母がいなければ祖父母、さらに兄弟姉妹へと移っていくことになる。子供のいる夫婦であれば、相続関係は単純で、配偶者と子供となる。 注意が必要なのは、子供のいない結婚している若い夫婦だ。

 若い夫婦の場合、相続関係は配偶者と実の父母となる。法定相続分は配偶者が3分の2、父母が3分の1だ。遺言で配偶者にすべての財産を相続させるという内容も可能だ。ただし、父母には「遺留分」を主張する権利がある。遺留分は亡くなった人の近親者に認められた相続の留保財産分だ。全体の遺留分は、相続人が配偶者と父母であれば、財産の2分の1となり、父母の具体的な遺留分は、2人で6分の1(2分の1×3分の1)となる。

 父母は相続する財産が自身の遺留分を下回っている場合に、配偶者に対して自身の遺留分を保全する目的として、財産の返還を求める「減殺請求」を行うことができる。そのため、遺言で配偶者にすべての財産を相続させようとしても、父母から遺留分の減殺請求がなされる可能性がある。

 2015年以降の基礎控除額は3000万円+(600万円×法定相続人の数)となる。 夫に相続が発生して、妻と子供2人が相続人の場合の基礎控除額は、
3000万円+(600万円×3人)=4800万円
となるので、相続財産がそれ以下の場合、相続税を納付する必要はない。

 相続税は自分には関係ないから、「争族」(相続に伴う争い)も関係ないと思っていても、実は「争族」は起こりうる。相続財産が、たとえ100万円しかなくても、相続人間が財産分与でもめれば「争族」であり、その解決は煩雑になる。

 「争族」が起こるケースには、いくつかの典型的なパターンがある。

 例えば、兄弟の仲が悪いケース。両親のどちらかに相続が発生する、いわゆる一次相続の時には問題は起こりにくいが、両親とも亡くなってしまった二次相続の時に「争族」が始まる。

 兄弟仲が良くても、それぞれの配偶者同士は赤の他人だ。正当な権利を主張するだけで、何ら悪いことを言っている訳ではないのだから、義兄弟の家庭のことなんて構っていられない。妻から「兄弟と私たち家族の幸せのどっちが大切なの?」と言われ「争族」に参加してしまう人も多い。

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アジア移住で資産運用 リスクに勝るか成長果実

アジア移住で資産運用 リスクに勝るか成長果実

「もう一度言いますよ。利回りは年8%超です」。4月16日、マレーシアの首都クアラルンプール。オフィスビルの一室は冷房がキンキンに効いているにもかかわらず、熱気に包まれていた。まくし立てるように金融商品を売り込むマレーシア人と、真剣に聞き入る日本人。開かれていたのは「日本人移住者向けの資産運用セミナー」だ。

 8%超の商品とは、需要拡大が続くパーム油の売り上げを裏付けとする証券化商品。パーム農園を経営する現地企業が資金調達のために開いたセミナーだった。元商社マンで、マレーシア生活が3年目に入った佐々木一男さん(76)が目を輝かせながら語る。「高成長が続くこの国には資産運用のチャンスがゴロゴロと転がっているんだ」

■増える長期滞在者

じわり広がる新たな資産運用「アジア暮らし」。専門家と日経ヴェリタス編集長が解説

じわり広がる新たな資産運用「アジア暮らし」。専門家と日経ヴェリタス編集長が解説

 浮き沈みを繰り返しながらも熱気に包まれた成長を続けるアジア。仕事以外の理由でこの地に暮らす日本人が増えている。駐在員などを除く長期滞在者は2012年10月時点で5万1000人。7年前に比べ6割近く増えた。

 とりわけ移住者を引き寄せているのがマレーシア、タイ、フィリピンの東南アジア3カ国だ。物価が低く暮らしやすいうえに、長期滞在用の査証(ビザ)制度を設けて移住者を積極的に受け入れている。この環境で可能になるのが生活費を抑えつつ、現地の不動産などに投資して成長の果実を手に入れる資産運用術。生活を楽しむ一方で、資産の運用や防衛も手がける一石二鳥型の暮らしだ。そんな移住ライフを狙う人が増えている。

 広島県で経営していた金属加工会社を3年前に売り払い、フィリピンのマニラ首都圏に越してきた佐藤謙一さん(65)も資産運用と楽しいアジア生活の二兎(にと)を追う1人だ。

 資産運用目的で3月に購入したのは、高層ビルやしゃれたカフェが整然と並ぶ再開発地区ボニファシオ・グローバル・シティに建設中の高級マンション。2年後に完成する同物件は30階建てでプール付き。10階のワンルーム(40平方メートル)を約1000万円で買った。「マニラの高級物件はほかのアジア諸国に比べて割安で、年間10%の値上がりも見込める」と話す佐藤さん。暇を見つけては次の投資物件を探すのが楽しみでたまらない。

 「ここでの暮らしは本当にお金がかからないんですよ」。タイ北部の古都チェンマイ。06年から同市と日本を行き来する森田弥栄さん(80)が言う。人口14万人の小ぶりな街だが、緑が多く、郊外には大型ショッピングセンターなどもある。適度な田舎暮らしを楽しみたい日本人にとっては心地よい場所だ。

■年金で十分豊かに

 日本で洋菓子店を営んでいた森田さん夫婦の今の月間支出は家賃も含めて約20万円。年金で十分賄える金額という。余った年金は日本で積み立て型投資信託の購入に回し、まとまったお金が必要になる事態に備えている。いわば資産を取り崩さない資産防衛型の移住スタイルだ。

 もっとも、移住生活はリスク・フリーではない。例えば高成長と裏腹の関係にある物価の上昇。ゴルフ三昧の生活をしようと札幌市内の会社を60歳で定年退職した後にクアラルンプールに移ってきた角田光男さん(63)にとって、年々上がる生活費は悩みの種だ。現在の収入は厚生年金のみ。「日本では味わえない充実した生活を楽しみたい」と言うが、「ガソリン価格が数カ月で1割上がった」のは気になってしょうがない。

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日本の不都合な真実、目隠ししたのは誰か

日本の不都合な真実、目隠ししたのは誰か

 グローバルに市場が荒れ模様になるなか、投資家のアンカー(いかり)になった資産がある。米独そして日本の国債である。ならば国債への志向は盤石なのだろうか。

グローバル市場の混乱
13年5月~ 14年1月~
引き金バーナンキFRB議長の量的緩和縮小示唆 米景気指標の振れ、アルゼンチンの通貨不安
中国経済の減速、「影の銀行」 中国経済の減速、「影の銀行」問題
新興国経常赤字国でトリプル安 経常赤字国の通貨安に選別色
米  国株安、長期金利上昇 株安、資金逃避で長期金利低下
日  本株安、長期金利上昇、円反発 株安、長期金利低下、円反発
幕引き米の緩和時期先送り(市場配慮) 米景気の底堅さ確認(?)

 10年物米国債を例にとれば、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融の量的緩和の規模縮小を続けると決めたにもかかわらず、利回りは一時2.5%台に低下(相場は上昇)した。

 新興国ばかりでなく米国株も荒れるなか、米国債が投資資金の受け皿になった。市場が落ち着きを取り戻せば、国債を避難所としていた資金も離れ、利回りもいくぶん上昇するだろう。

 それでも、投資家のリスク許容度が低下したので、安全資産である米国債を粗末にすることはあるまい。この点が、債券を起点としてグローバルな市場波乱が起きた昨年5~6月との違いである。

 日本の場合も、10年物国債の利回りが0.6%まで低下した。外国人投資家が株式を売った資金で、国債を購入した。安全資産としての国債に、マネーが流れ込んだ。ここまでは米国と同じだが、日本経済の対外環境をみると、改めて気がかりな事実が浮かび上がる。

 経常赤字の穴埋め問題だ。日本の経常収支は昨年10月以降、赤字となっている。貿易赤字の拡大が主因で、2013年の貿易赤字額は11.4兆円と前年比65%増えた。

 今年は1月上中旬の貿易赤字がすでに2兆円に乗せ、前年同期比71%増となっている。今年1月の経常収支が赤字となり、赤字幅も昨年1月の3000億円強を上回るのは必至である。

 経常収支は国内の貯蓄投資バランスに一致するので、経常赤字になれば海外からの資本流入で埋め合わせるほかない。昨年は1年間で15兆円を超えた外国人投資家の日本株買い越しが、その役目を果たした。

 ところが今年に入りその流れが逆転した。外国勢は1月に日本株を1兆円売り越したのである。その結果、日本株が値崩れした。だが、より深刻な事態は株式投資以外の資金流入も途絶え、経常赤字の穴埋めが出来なくなることだ。

 今のところ、その事態は取り越し苦労で済んでいる。外国勢は日本株を売る一方で、中長期債の買い越しに転じたからだ。加えて、新興国通貨を売った資金が日本の短期債へと流れ込んだ。外国勢による短期債の買越額は、1月には4.5兆円にのぼった。

 これだけの短期資金が入ってくれば、円高になるのは避けられない。案の定、円相場は1ドル=100円突破をうかがう勢いをみせたが、その半面で経常赤字の資金繰りがついたのだから、文句をいえた義理ではない。

 グローバルな金融不安が一段落すれば、こうした短期資金は潮が引くように去って行く。すると、経常赤字という「不都合な真実」だけが残る。

 (1)貿易赤字を減らし経常収支を黒字にするよう努める(2)外国勢の対日投資をつなぎ留めるべく政府と企業が努力を重ねる。官民問わず直面しているのはこの課題である。

 新興国の問題点をあげつらう、上から目線の解説はもういい。今の日本は財政と経常収支の「双子の赤字」に直面している。そのことを忘れてはならない。

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調査で判明 勝ち組投資家が見ていた指標・情報源

調査で判明 勝ち組投資家が見ていた指標・情報源

 株式投資などで十分な運用実績を挙げていくには、日々の情報収集が欠かせません。では、具体的にどのような情報をウオッチすればいいのでしょうか。今回は個人投資家1万人を対象に実施したアンケート調査の結果から、「勝ち組」が見ていた経済指標やネット上の情報源は何だったのかを解説します。

 投資の勝ち組と負け組では、注目している数値指標にどんな違いがあるのか。「日経マネー」編集部が実施した個人投資家調査[注1]から、まずは勝ち組と負け組[注2]がチェックしている指標の違いを比べた。

 まず、負け組は全ての数値指標につき勝ち組よりも関心度が低い。それでも米ドル/円や豪ドル/円など一般的な指標では両者の差はあまりなく、原油価格、金価格でも大きな違いは見られない。顕著な差が出たのは、米国株の動きやユーロ/円、外国人投資家の動向、米国雇用統計などへの関心度だった。負け組が日銀短観など国内指標を比較的よく見ているのに対し、勝ち組は国内に限らず、明らかに世界全体の動きに注目している。各国の長期債利回りではその差は2倍にもなった。

勝ち組と負け組が見ている指標の違い

勝ち組と負け組が見ている指標の違い

■年代が高くなるほど投資指標への関心も高まる

 では、年代によって見る指標に違いはあるのだろうか。20代(828人)、30代(2462人)、40代(2645人)、50代以上(4106人)で調べた。なお、参考までに年代別のほかに、「金融資産が1億円以上」と回答した137人も比較した。

 その結果、年代が高くなるほど投資指標への関心度も高くなる傾向があることが分かった。例外は、ユーロ/円(40代より30代が高い関心)や各国の長期債利回り(年代が上がるほど関心が低下)など数えるほどしかなかった。20代の投資家では指標やマクロへの関心が想像以上に低い。

[注1]アンケートは、2013年2月8~20日にインターネット上で実施。2012年の運用成績、投資スタイルなどについて尋ねた。回答者数は1万64人。
[注2]この記事では、「2012年11月末~2013年1月末までに金融資産を30%以上増やした人」、もしくは「過去3年間連続で日経平均株価の上昇率に買った人」を勝ち組とした。同様に負け組は、「2012年11月末~2013年1月末までの金融資産の増加率が10%未満だった人」、もしくは「過去3年間連続で日経平均株価の上昇率を超える運用実績を達成できなかった人」のいずれかに該当する人とした。

 一方、金融資産1億円以上のお金持ちは米国株・中国株の動きをはじめ、あらゆる数値指標に貪欲な関心を示す。年代別で20代の回答率がどの指標でも低かったのとは大きな違いだ。特に原油価格や米雇用統計などをチェックしている金融資産1億円以上の回答者の比率は、20代の2~3倍になった。

見ている指標の違い(年代別と金融資産1億円以上)

見ている指標の違い(年代別と金融資産1億円以上)

 なお、これらの数値指標のうち、重要だが入手しにくいものについて、どこにあるかを下にまとめた。

[左]一般に入手しにくい主な数値指標と、その入手が可能なウェブサイト
[右]各国の長期債利回りが入手できる国際投信投資顧問(国際投信)のウェブサイト。世界地図の上に表示されるので見やすい

[左]一般に入手しにくい主な数値指標と、その入手が可能なウェブサイト
[右]各国の長期債利回りが入手できる国際投信投資顧問(国際投信)のウェブサイト。世界地図の上に表示されるので見やすい

勝ち組投資家がよく見ているサイトベスト20

勝ち組投資家がよく見ているサイトベスト20

 調査では、このほかインターネット上の情報源についても訪ねた。 勝ち組によく見ているウェブサイトは何かを聞くと、圧倒的に多かった回答は日経電子版やYahoo!ファイナンス、ロイターなどの総合ニュースサイトだった。これらは経済や相場全体の動きをつかむには欠かせない存在なので、当然と言えるだろう。

■情報源としてネット証券のサイトも活用

 最近ではネット証券の情報提供サービスも充実しているため、マネックス証券、SBI証券、松井証券などの名前も上位に登場。適時開示情報閲覧サービスやモーニングスター、EDINETなど、ニュースに加え「目的を持って調べに行くサイト」も複数入っている。

 個人のサイトは少ないが、「日経マネー」誌の連載でおなじみの夕凪(ゆうなぎ)さんのサイト「ダントツ投資研究所」がランクインした。夕凪さんは「実際、どれくらい投資家の役に立っているかは自分では分からないので、とっても光栄です」とコメントしている。「表全体を見ると、皆さんはサイトを“情報の種”として使っているよう。その情報を解釈するのは自分、という使い方です。多分私のサイトは、投資部門別売買状況の確認に利用されているのだと思います」。

アンケートで寄せられた各サイト対する評価・意見

アンケートで寄せられた各サイト対する評価・意見

勝ち組投資家がよく見ているブログベスト20

勝ち組投資家がよく見ているブログベスト20

 次にブログだが、勝ち組が多く見ているのはインデックス投資の実践記である「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」。名称が1973年刊の名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』から来ているのは言うまでもないが、これがトップということは、パッシブ運用に憧れる株式投資家も意外に多いのだろうか。

 続いて目立つのが株主優待、配当金関連のブログ。特に「みきまるの優待バリュー株日誌」は写真が豊富な点も含めて人気だ。他にも、読みやすい個人の投資実践記が、不動産分野のものも含めて多数登場した。

 夕凪さんのサイトはここでもランクイン。「ブログの表はバラエティーに富んでいますね。ある情報を、お目当てのブログ主はどう解釈しているかを知りたいのでしょう。そのため自分の投資スタイル(優待、長期投資、テクニカル投資、イベント投資など)に合わないブログは全然見ないのでは」(夕凪さん)。

[左]梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーは「パッシブ投資の情報が充実」「同じ投資家目線である点」など高評価
[右]みきまるの優待バリュー株日誌は「見落とした銘柄が優待の写真付きで見られる」「銘柄分析の視点がよい」といった意見が見られた

[左]梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーは「パッシブ投資の情報が充実」「同じ投資家目線である点」など高評価
[右]みきまるの優待バリュー株日誌は「見落とした銘柄が優待の写真付きで見られる」「銘柄分析の視点がよい」といった意見が見られた

■勝ち組はメルマガよりサイトを重視か

 一方、メールマガジンはサイトやブログに比べ「参考にしている」という声が少なく、名前が挙がったのもほとんどがネット証券のメルマガだった。勝ち組投資家なので、メルマガで情報が与えられるのを待つのではなく、自らサイトやブログで積極的に調べているということか。マネックス証券のメルマガについては「内容が面白い」「特に毎朝のコメントに曖昧性が少ない」、楽天のメルマガについては「タイムリーに届き、空き時間に手軽に確認できる」などの評価が寄せられた。

[左]勝ち組投資家がよく見ているメルマガベスト10
[右]楽天証券のメルマガは種類も豊富。「投資情報がタイムリーに見られる」との声が多数あった

[左]勝ち組投資家がよく見ているメルマガベスト10
[右]楽天証券のメルマガは種類も豊富。「投資情報がタイムリーに見られる」との声が多数あった

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安倍相場に焦らず「次」狙え 20代からの株投資

安倍相場に焦らず「次」狙え 20代からの株投資
アベノミクスがバラ色老後に与える影響(3)

 日経平均株価が5年4カ月ぶりに1万5000円台を回復しました。安倍晋三政権にちなみ「アベノミクス相場」や「安倍相場」と呼ばれる今回の株高の特徴は、極めて短期間で急騰したことです。野田佳彦前首相が衆院解散を表明した2012年11月から半年での上昇率は7割に達し、戦後2番目の大相場といわれています。

 これがどれほど急激なスピードか考えてみましょう。資金を持つ人が10年で元本を1.7倍に増やすには、年平均5.5%の利回りが必要な計算になります。年5.5%というのは、1990年代に企業年金が目標としていた運用利回りです。しかし実際にはこの20年間、公的年金や企業年金にとって5.5%のハードルは相当高かったのです。

 つまり今回の株高は、この10年にプロでも達成が難しかった運用成績を10年分まとめて獲得したほどの勢いだということです(実際には分散投資でリスクを抑えるため、日本株だけに投資するわけではありませんが)。

■これからの投資デビューには注意点も

 株式相場の活況を伝えるニュースや解説を読み、「私も株を始めてみようか!」と興味を持ち始めた若い世代の方も多いと思います。しかし、いまから投資を始めることはチャンスでもある半面、注意すべき点もあります。

 まずチャンスととらえてほしいのは、これまで投資をしてこなかった人が実際に投資を経験してみることは一生の財産になるということです。

 このコラムでも3月に「20代から始める 誰でもできる資産運用入門」と題し、投資初心者が陥りがちなミスを防ぐ方法や心構えを紹介しました。4回の連載を通じ、普通の会社員の方もぜひ投資を始めてみてほしいというメッセージを込めています。

 銀行の口座と違い、株式や債券、投信の売買に使う証券口座はその必要がなければ開設しないのが普通です。もし「投資してみたい」と興味を持った人は、まず口座だけでも開いてみるといいでしょう。インターネットで申し込めば簡単に手続きできます。

 一方で注意すべき点としては、投資経験のない人が「いまからでも70%増やせるかも!」と軽く考えているとしたら要注意だということです。

 3月12日付の「普通の会社員が投資でカモにならないための6カ条」でも指摘しましたが、人は投資するとき自信過剰に陥りやすく、適切な判断ができなくなることがよくあります。初心者ほど「自分に才能があるかもしれない」と過信しやすいのです。

 実際にチャレンジしてみると分かりますが、平静を保ちながら投資の判断をすることはなかなか大変です。相場の動きはあなたの思い通りにはならずイライラしますし、損を抱えた状態もしょっちゅう起きます。こうした状況に慣れていかなければ、無用の損失を積み重ねることにもなるのです。

 「まだチャンス」と楽観的に考えるだけでなく、「いまの上昇相場も今日がピークかも」と意識することが大切です。これから投資デビューするなら、最初は少額からのチャレンジにしておくといいでしょう。

■アベノミクス相場に乗れた人の3条件

 アベノミクス相場で資産を増やした人には3つの特徴があります。共通するキーワードは「上がる前」です。

(1)実際に投資し、上昇相場がきたときにすぐ乗れるようにしていた

 まず、株価が上昇基調になる前から投資にチャレンジしていた、ということです。もちろん株式投資には価格変動のリスクがあり、元本を割り込む可能性があります。それでも中長期的には相場が上昇に転じるタイミングがあると信じてお金を投じ、待つことができた人が今回のアベノミクス相場でも最初に笑うことができたわけです。とにかく「上がる前」から投資しておくことが重要です。

(2)お金をしっかりため、いつでも投資できる資金を用意していた

 次に、アベノミクス相場を迎える前に投資できるだけの資産を持っていた、ということです。どんな投資も、元手がなければお金を増やすことはできません。借金して投資をするのは論外ですから、投資にチャレンジするお金を「上がる前」に用意できることが、どんな相場に挑むにしても必要になります。

(3)投資について知識を学び、実際の投資を通じて成功・失敗体験をしていた

 最後に、投資への知識と経験がある状態で株価上昇局面に対応できたということです。未経験のままいきなり株式投資に挑むのはなかなか大変です。先ほど指摘した通り、目まぐるしく変動する株価をみて冷静さを保つのは大変ですし、投資判断のための知識も必要です。「上がる前」に勉強や経験をしておいてほしいのです。

 これら3つの特徴で分かるように、実は投資における勝負の半分以上は「上がる前」に決まっているといっても過言ではありません。楽しい人生とバラ色の老後に向けた資金づくりに投資を活用するためには、上がった後ではなく「上がる前」の準備を考える必要があります。

■上げ相場は人生で何度もやってくる

 「そんなことを言われても、もう遅い。いまの株高で手っ取り早くもうけたいんだ」という人も多いでしょう。しかし20~30代の読者の皆さんにとって重要なのは、相場の上昇は人生においてまだ何度もやってくるということです。今回ほど極端な上昇は少ないかもしれませんが、株式市場は上がったり下がったりを繰り返しながら、さながらヘビがのたうつように動いていきます。

 筆者は確定拠出年金(日本版401k)の投資教育が専門ですが、日本版401kがスタートしてから12年の間に日経平均の8000円割れが2回、1万5000円超えも2回ありました。それくらい株価の上下動は大きいのです。

 まだ投資したことがない人のために大まかなイメージでいえば、10年も投資をしていれば2回上下があるくらいの感覚です。つまり、いま30歳の人であれば「バラ色老後を迎えるまでに6回くらいは上昇相場がある」とゆったり構えておけばいいのです。

 これから投資する世代は「上がり続ける相場はない(いつかは下がる)」一方で、「下がり続ける相場はない(いつかは上がる)」ということを時間をかけて学んでいけばいいでしょう。

■投資もバラ色老後も中長期の目線で

 「上がる前」の準備をいまから始めておけば、アベノミクス相場の次にいつか株高の波が来たとき、その恩恵を逃すことはなくなります。これは、いまのアベノミクス相場に慌てて飛びついて失敗するより大事なことだと思います(ただし投資の経験はしておく方がいいので、いまは少額でチャレンジするとよいでしょう)。

 「次の上げ相場」を考えるなんて、ずいぶん遠い話のような気がします。しかし、それくらい中長期の目線を持てるようになれば、バラ色老後づくりにも役立つでしょう。

 もし、いまから投資をスタートするのであれば、3月26日付「バラ色老後へ初めての投資 積立投信で実践しよう」を参考にしてみてください。

 「アベノミクスがバラ色老後に与える影響」について考えてきた5月の最終回として、来週はインフレを取り上げます。アベノミクスが目指す政策の一つですが、40歳より若い人はインフレに対する実感がほとんどないと思います。バラ色老後に与える影響が深刻なインフレにどう向き合えばいいのか、対策を考えてみたいと思います。お楽しみに。

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脱再生エネ? ソフトバンク、電力事業へ秘めた野心

脱再生エネ? ソフトバンク、電力事業へ秘めた野心

 「相変わらずの大風呂敷」――。三井物産などと組んでロシアからの電力輸入構想を打ち出したソフトバンク。周囲の揶揄(やゆ)する声をよそに、着々と準備を進める。単なる話題づくりか、それとも勝算があるのか。ソフトバンクがひそかに描くエネルギー事業の青写真を探った。

■事業規模1兆円超の壮大な構想

 2013年2月12日。この日は、ひょっとしたら島国・日本の閉ざされた電力市場の歴史的転換点と記されるかもしれない。

 「この壮大なプロジェクトをぜひとも、実現させましょう」――。ロシアの首都モスクワ、ロシア政府系電力大手インテルRAOの本社ビル。ソフトバンク、三井物産、インテルRAOの幹部は高揚した面持ちで握手を交わし、事業化調査の覚書に調印した。日本とロシアを結ぶ送電網を構築し、2016年以降にもロシアの電力を日本に送るという事業規模1兆円超のプロジェクト。実現すれば、日本は初めて海外と電力網がつながり、日本のエネルギー安全保障のあり方は大きく変わる。

 この構想はロシア側がソフトバンクに働きかけ、とんとん拍子に進んだという。日本やロシア、モンゴル、中国などの送電網を海底ケーブルでつなぎ、電力を相互融通する「アジアスーパーグリッド」を提唱するソフトバンク社長の孫正義にとっても、渡りに船の話だった。

 その意気込みを示すかのように、当初は孫自らが調印に臨もうとしていたという。米携帯電話大手のスプリント・ネクステルの買収で時間が取られることもあり、最終的には代理を立てたが、インテルRAO側はナンバー2の役員が調印。日・ロ両サイドとも「本気度合い」をうかがわせた。

 構想は壮大だ。ロシアの極東部の水力発電所などからサハリン南端まで送電網を敷設。サハリンから北海道の北端までを海底ケーブルで結ぶ。総費用は1兆円を超えるというが、燃料コストが安いため「まず目指すのは(原発一基分の)100万キロワットの輸入。総コストは1キロワット時あたり10円を切る」(関係者)。液化天然ガス(LNG)火力を下回り、石炭火力に匹敵するコスト競争力だ。

 すでに事業化調査チームを組織した。名を連ねるのはソフトバンク、インテルRAO、三井物産の3社のほか、送電インフラ大手のスイス重電ABBや米コンサル会社。近く一回目の会合を開き、構想の具体化に移る。

■カギ握る元東電社員

 もっとも、電気事業法は海外の送電網との接続を想定していないので実現には新たな法整備が必要。エネルギー行政をつかさどる経済産業省のバックアップ抜きには実現はおぼつかない。ソフトバンクといえば役所とけんかばかりしてきたイメージが強い「異端児」。行政を味方につけることができるのか……。

三井物産と組み、出力約4万キロワットの国内最大級メガソーラーを鳥取県に建設する

三井物産と組み、出力約4万キロワットの国内最大級メガソーラーを鳥取県に建設する

 カギを握る一人の人物がいる。

 昨秋、東京電力から転じた40歳代半ばの幹部社員A。東電前会長の勝俣恒久の信頼が厚く、東電中枢の企画部門のエースといわれた男だ。福島第一原発事故がなければ将来の社長候補ともささやかれていたが、再建計画「総合事業特別計画」の策定を巡って、政府の原子力損害賠償支援機構(原賠機構)と激しく対立。国有化後、原賠機構の幹部らが東電に乗り込んでからは干されてしまい、東電を去った。今やソフトバンクのエネルギー事業の中心人物として、電力会社を攻める立場に変わった。

 「自分に期待されている役割は役所とうまく調整すること」。Aは東電企画部時代に培ったパイプを生かし、経済産業省内にソフトバンクのシンパを広げようとしているという。

■経産省は一見後ろ向きだが

 「実現は疑問」「50年はかかるだろう」――。表向き、経産省はソフトバンクの電力輸入構想には後ろ向きの姿勢だ。だが、内情は少し異なる。

 「以前から経産省内にはサハリンと日本をパイプラインなどで結ぶ構想がある。今でも消えていない」。ある経産省OBはこういう。かねてパイプライン敷設を推していたのは資源エネルギー庁だが、エネルギー安全保障が注目された震災以降は、経産省内の別の勢力が「パイプライン+送電網」のセットでロシアとつなぐ構想を温めているという。

 ソフトバンクと同じ方向を向いているわけだが、経産省として役所とけんかばかりする異端児の提案に、おいそれとのるわけにはいかないのだろう。

 実はロシアからの電力輸入構想は、ソフトバンクのエネルギー事業の重大な方針転換を意味する。水力だけでなく、ロシアで天然ガス火力発電所を新設する選択肢が含まれているのだ。

 ソフトバンクのエネルギー事業といえば、孫の「脱原発」を出発点に太陽光や風力など再生可能エネルギー中心だったはず。全国の知事と組んで、合計20万キロワット超のメガソーラーを建設する計画を進めている。ここにきてエネルギー事業の方針を転換するのはなぜか。

ソフトバンクの
エネルギー事業への取り組み
2011年
3月
東日本大震災後に孫社長が被災地を訪れ、福島県知事などと会談。再生エネ事業の検討開始
11年6月定款変更し会社の目的に再生エネルギー事業を追加
11年9月再生エネの調査や政策提言などを手掛ける「自然エネルギー財団」が活動開始
アジア各地を送電網でつなぐ「アジアスーパーグリッド」構想を提唱
11年10月再生エネ事業の子会社、SBエナジー設立
12年3月モンゴルの投資会社ニューコムとゴビ砂漠での風力発電開発などで合意
12年7月京都市と群馬県榛東村で同社グループ初のメガソーラーがそれぞれ稼働
12年8月三井物産とメガソーラー建設計画の詳細を発表
12年12月マンションなどの屋根を借りて太陽光発電する「おうち発電プロジェクト」を開始
13年2月ロシア政府系大手発電会社インテルRAO、三井物産と、日ロ間の送電網構築に向けた事業化調査の実施で合意

 「携帯電話事業でいずれ今ほど稼げなくなった時のことを孫さんは考えている」(関係者)。携帯電話の次の成長事業としてエネルギー事業を位置づけているというのだ。メガソーラーなど再生エネ事業の先行きは、政府の買い取り価格次第。買い取り価格が下がっていけば、いずれ立ち行かなくなるのは目に見えている。20万キロワット超のメガソーラーは国内有数かもしれないが、小型火力一基分にすぎない。

■ドコモが「アイフォーン」発売したら…

 携帯電話で稼げなくなるという危惧は、徐々に現実味を帯びている。NTTドコモが米アップルの「アイフォーン」を近く発売するとの見方が強まっているのだ。

 「ドコモがアイフォーンを発売したら、1年間で数十万件の契約がソフトバンクからドコモに流れる可能性がある」。調査会社のMM総研(東京・港)取締役の横田英明はこう予測する。通信業界に詳しい証券アナリストは「ドコモが仮にアイフォーンを導入すれば、ソフトバンクにとって100億円以上の減益要因になる」とみている。

 ドコモへの対抗策で余分な出費もかさむだろう。KDDI(au)がアイフォーンを導入した2011年10月。ソフトバンクは旧型機種を無料で最新機種に取り換えるキャンペーンで顧客をつなぎとめようとした。孫は「100万件の顧客流出を予想したが、5万件にとどまった」と胸を張ったが、販促費だけで300億円もかかった。

 顧客基盤がKDDIの1.6倍あるドコモが相手なら、支出はそれ以上となるのは確実。もっと踏み込んで、「端末価格をドコモ以下に下げるだろう」(MM総研の横田)。さらに「料金設定を下げて顧客つなぎとめに走る」とみる関係者も多い。当然、収益力は落ちていく。

 こうした危機感があるからだろうか。エネルギー事業の実動部隊の陣容を着々と整えている。先兵となるのは11年10月設立のグループ会社「SBエナジー」。社員数は約100人のうち、電力会社の社員、商社の電力事業経験者ら中途入社組が半数を占める。

 孫が社長を務めるが、実際に率いるのは副社長の藤井宏明。JR東日本出身で01年に中途入社。地方競馬事業の支援、学校教育でのIT導入などを通じて築いた地方自治体とのパイプをうまく使い、メガソーラー事業の旗振り役を担う。SBエナジーはメガソーラーから、次の現実的なステップに進もうとしている。

 電力業界関係者によると、SBエナジーは東電の火力発電所の建設・運営入札への参加を検討しているという。

 福島第一原発事故による巨額の賠償負担で投資余力に乏しい東電は、入札によって外部資本を導入し、260万キロワット分の火力発電所を新設しようとしている。締め切りは5月24日。中部電力や総合商社などが応札すると見られている。ここに名乗りをあげようというのだ。落札できれば長期に渡って着実に稼げるうえ、プラント建設・運営ノウハウが手に入り、内外での電力事業の展開に弾みがつく。

 ただ、落札するためにはソフトバンクは一段と「脱再生エネ」へ舵(かじ)を切る覚悟を求められる。

 東電が示した発電コストの上限は1キロワット時あたり9.53円。「コスト的には石炭火力以外では難しい」(電力業界関係者)。本気で落札して利益を確保するなら、石炭火力に踏み込むほかなく、全国の知事と組んでメガソーラーを展開することで作り上げた「再生エネの旗振り役」というクリーンなイメージを下ろさねばならないだろう。

■買収したい電力会社は…

 さらにソフトバンクは秘策として、お得意のM&Aを仕掛けるタイミングを計っている。

 「すべての電力会社の時価総額と経営状態を調べてくれ」――。昨秋、孫は部下にこう命じたことがあったという。電力会社を買収するならどこがいいのか……。

 出した答えは「Jパワーだった」(関係者)。

 なぜJパワーなのか。水力や風力の発電設備は国内屈指。東電や関西電力など地域独占に安住する電力会社と違って、小売部門を持たないJパワーは危機感が強く海外展開が進んでいる。米国やアジアで火力や風力を手掛け、海外で370万キロワットの設備を持つ。Jパワーを傘下に収めれば、アジアでの電力事業基盤が手に入り、「アジアスーパーグリッド構想」には確実に追い風になる。

様々な新規サービスで通信の価格破壊を先導してきたソフトバンク。閉鎖的な電力市場の起爆剤として期待する向きも

様々な新規サービスで通信の価格破壊を先導してきたソフトバンク。閉鎖的な電力市場の起爆剤として期待する向きも

 しかもJパワーは唯一、北海道と本州を結ぶ電力海底ケーブル(容量60万キロワット)を持っており、ロシアからの電力輸入が実現すれば、この施設を使って本州に電力を供給できる。

 Jパワーの時価総額はおよそ4000億円。英ボーダフォンの携帯事業買収に1兆7500億円を投じたこともあるソフトバンクにとってさほどの問題ではなかったが、後に急浮上したスプリントの買収を優先したようだ。

 現時点ではエネルギー分野での大型買収は様子見という。もっともJパワーは大間原発を建設中。「脱原発」の孫が原発運営に手を出すわけにはいかないので、仮に買収しても大間原発を抱えるのは難しいだろう。

■「業界風雲児」の破壊力に期待感も

 「10年前にモデムを街頭で無料配布してADSLを普及させたように、スマートメーターを無料で配ってみたらどうだろう」

 「ソフトバンクの通信サービスを利用しているユーザーに割安な電力を供給する『セット販売』で顧客を増やす方法はどうか」

 最近のソフトバンク社内では電力事業拡大策を巡って、活発な議論が交わされているという。通信業界で様々な規制を突き破り、価格破壊を実現したソフトバンク。その剛腕ぶりから「アジアを送電網で結ぶ構想を掲げるソフトバンクが電力に本格参入すれば競争が活発になり、エネルギー安保にもプラス」(シンクタンク研究員)との期待も一部にはある。

 発送電分離方針が決まった後も電力改革に抵抗し、自己変革の姿勢を示さない電力業界。強固な結界を破り、電力市場の競争を活発にするには「業界風雲児」のソフトバンクの本格参入はうってつけかもしれない。だが、ソフトバンクにとって「脱再生エネ」の説明責任は相当に重いだろう。

=敬称略

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3億円おトクな「夫婦共働き」で30代を乗り切る  2013/1/3

3億円おトクな「夫婦共働き」で30代を乗り切る
第1回 ファイナンシャルプランナー・花輪陽子
 ファイナンシャルプランナー(FP)の花輪陽子です。この連載では、30代の夫婦が共働きをすることにより、先行き不透明な時代を賢く生き抜く方法をお伝えします。30代はこれからの人生を決定づけるとても重要な時期です。仕事では最も脂がのり、出産適齢期とも重なります。責任ある仕事をこなしながら、同時に家事・子育てにも取り組んでいかなければなりません。2人の中長期的な人生戦略を考え、よき戦友として課題に取り組んでいける夫婦が30年後に笑うことができるのです。
 まず、なぜ「夫婦共働き」なのか。それは私と夫の実体験がベースにあります。私はFPになる前、外資系の金融機関に勤務していました。新卒で入社し8年間働いたのですが、リーマン・ショック時に所属していた部門が香港に引き継がれ、私は社内のポジションを失いました。少し前に夫の勤務先(ITベンチャー企業)も黒字倒産をしたばかり。私たち夫婦は、ほぼ同時期に実質的な失業状態に陥ったのです。
 昭和の時代までは当たり前だった「終身雇用」が崩壊しつつあり、計画的な人生プランが立てにくくなっています。35年ローンを組んで住宅を購入し、あらかじめ利率の決まった学資保険や個人年金保険で教育費や老後資産作りを計画する……といったことが難しい時代。このようにかじ取りが困難な時代を乗り切る解決策の一つが「夫婦共働き」です。2人で働くことで当然収入は増えますし、お互いに正社員ならば、将来の年金や退職金を増やすことも考えられます。
 妻の働き方により、生涯賃金が2億円以上変わるということをご存じでしょうか。大卒女性が仕事を中断することなく、38年間働き続けた場合の生涯賃金は退職金込みで約2億7700万円というデータがあります。育児休業を2年間取得し、36年働く場合は約2000万円の逸失額があり、生涯賃金は約2億5700万円になります。出産後退職し、8年間のブランクを経て再就職する場合は正社員として復帰するか、パートとして復帰するかで大きく生涯賃金が変わってきます。正社員として復帰する場合の生涯賃金は約1億7700万円、パートとして復帰する場合の生涯賃金は約4900万円になります。結婚後は専業主婦という場合の生涯賃金は約2200万円になります(*)。
 さらに、老後にもらえる年金額も異なります。2010(平成22)年度の標準的な年金額は夫婦で月23万2592円(厚生年金月10万576円、基礎年金月6万6008円×2人分)になります。この金額は夫が厚生年金でボーナスを含んだ1カ月あたりの平均収入が36万円、妻が専業主婦やパートで国民年金の第三号被保険者というご家庭の場合になります。夫婦2人が厚生年金に加入し、お互いに平均収入を稼いでいるという場合は、2人の年金額は月33万3168円になります。つまり、共働きの場合、月10万円(年120万円)以上年金額が増えることになります。
 専業主婦家庭と共働き家庭とでは生涯賃金で約2億5500万円、25年間の年金額で3000万円、合わせて約3億円の差が出るのです。
 また夫婦共働きであれば、収入増によるまとまったお金で資産運用をしたり、独立・起業を試みたりと前向きな挑戦がいくつもできます。例えば、我が家の場合、夫の再就職先が決まったので、私はFPとして独立するチャレンジができました。共稼ぎとなったことで、夫は家計を1人で支えなくてはいけないというプレッシャーから解放され、伸び伸びと働けており、またお互いに収入があることから、今は生命保険もかけなくて済んでいます。
(*)「国民生活白書」2005(平成17)年版。28歳で第1子出産、31歳で第2子出産と仮定。
 さらに共働きで収入を分散することは税金面でも有利です。所得税は累進課税のために男性1人の収入を上げようとすると高い税率を課されることがあります。しかし、専業主婦の妻が年収100万円を稼ぐ場合は、ほとんど税金がかからず、世帯の手取りを上げることができるのです。妻の年収が500万円という場合も、それほど所得税は高額になりません。理想的には夫婦で500万円ずつ稼ぐなど所得を分散させると、課される税率も低く、税金がおトクになります。
 思い返せば私自身、29歳独身時代に200万円の借金を抱え会社の先行きが不透明という崖っぷちに立たされました。しかし夫と結婚し、夫婦共に実質的な失業の時期を経験したものの、30代のいま共働きを続けたからこそ乗り越えてきた困難も少なくありません。
 先行き不透明な時代だけについ「病気や老後が不安だから」と保険に過剰に入ったり、リスクの高い金融商品に手を出しがちです。しかしそうした不安を解消してくれる「夫婦共働き」を武器に、不確実な時代に立ち向かう「サバイバル家計術」を実践していきましょう。私は皆さんの半歩先を歩き、行く先々の落とし穴や近道についてお伝えしたいと思います。
花輪陽子(はなわ・ようこ) ファイナンシャル・プランナー。1978年、三重県生まれ。青山学院大国際政治経済学部卒、外資系投資銀行に入行。OL時代は借金200万円の“貯まらん女”だった。新婚早々に「夫婦同時失業」というどん底を経験し現職に至る。著書に『夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、共著書に『大増税時代を生き抜く共働きラクラク家計術』(朝日新書)、『夫婦で貯める1億円! 世帯年収600万円からできる資産づくり45のルール』(ダイヤモンド社)、『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)など。日経ウーマンオンラインなど連載多数。オフィシャルサイトURLはhttp://yokohanawa.com/

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復興増税、1日スタート 所得税の2.1%を25年間

復興増税、1日スタート 所得税の2.1%を25年間
2012/12/31
 東日本大震災からの復興に使う予算の財源を確保するため、所得税を上乗せする「復興増税」が1日に始まる。所得税の税額の2.1%分にあたり、2037年までの25年間続く。個人住民税も14年6月から年1000円が上乗せされる予定だ。14年4月には消費増税を控え、家計は負担増が続く。復興予算の適切な執行も求められる。
 政府は11年度から15年度までの5年間で約19兆円を使う復興計画を立てている。歳出削減での財源捻出が追いつかず、政府保有株と資産売却による税外収入に加えて、所得税や法人税に上乗せする形の復興増税で財源を確保することにしている。
 復興特別所得税は13年1月から開始。財務省の試算によると、夫婦と子ども2人の世帯で年収600万円の場合に年2700円、年収1000万円だと年1万4000円の負担になる。14年6月からは住民税の均等割分が年1000円上乗せされる。
 企業負担では、12年4月に始まる事業年度から3年間、復興特別法人税が適用される。法人税額の10%を上乗せする形で、東京都での法人実効税率は約38%になる。
 政府はこれらの増税で約10.5兆円を確保し、復興の予算に充てる。5年間で約19兆円とした復興予算は12年度の当初予算までで約17兆円を計上している。政府・与党内には19兆円から、さらに上積みを求める声がある。一方で、復興予算は必ずしも被災地の復旧・復興に直結しない事業への支出が指摘されるなど、使い方を巡り批判も出てきている。
 家計負担は復興増税や消費税だけでなく、厚生年金保険料の引き上げなども続く。復興予算の使い道や効果を厳しく検証すべきだとの声が強まりそうだ。

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